【移住者が語る】ニカラグアのリアルな治安事情と安全対策

ニカラグアのリアルな治安事情と安全対策

中米にあるニカラグアは、スペイン領時代の美しい建築物や壮大な自然、そしてフレンドリーな国民性など、観光客や滞在者を魅了する要素が詰まった国です。

しかし、2018年4月に、現政府に反対する国民の抗議活動が勃発し、400人以上もの死者が出る事態となってしまいました。

これにより、ニカラグアの治安に対する国際的なイメージは大きく崩れ、日本人を含め、多くの外国人滞在者がニカラグアを去りました。

世界平和度指数はイギリスのエコノミスト紙が世界の各国がどのくらい平和かを分析して数値に表したものですが、ニカラグアは2017年に世界第66位だったのを、2018年には第120位にまで順位を落としました。

この一年での落差が世界で最も大きかったのがニカラグアです。

ニカラグアの経済で観光業は2番目に大きな産業分野となっていますが、一連の騒動により、観光客の数も激減し、ニカラグアの経済に大きなダメージを与えています。ホテルやツアーオフィスが次々と営業を休止し、多くの人が職を失い、漁業や農業といった一次産業への転向を余儀なくされました。

暴動が勃発してから1年半が経った2019年9月、ニカラグアの治安はどのような現状にあるのか、現地在住者の視点でご紹介します。

外務省海外安全ホームページでのニカラグア情報と実際との比較

外務省は、2019年7月9日に、ニカラグアの危険度を、「レベル1:十分注意してください」に引き下げました。

その理由として、反政府団体と政府との対立は話し合いで解決する方向に進んでいて、大規模なデモは発生しなくなり、一般の治安も改善が認められるからとしています。

ただし、小規模なデモが発生して、これを警察が鎮圧することなどがあるので、渡航・滞在においては十分注意すること、と注意喚起しています。

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ニカラグアでは注意したい軽犯罪。増加傾向にある

ニカラグアでは軽犯罪が多発していて、その数は増加の傾向にあります。

残念ながら、窃盗の被害などは、警察に届け出ても犯人や盗まれたものが見つかる可能性は限りなく低いです。

ニカラグアの警官

油断をせずになるべく被害に遭わないようにする、万が一被害に遭ってしまっても損害が最小限になるようにする、といったことを心がけましょう。

ニカラグアで考えられる各軽犯罪をみていきましょう。

スリ

バスの車内やバス停をはじめ、スリが多発しています。携行物には注意を払いましょう。

日本では鞄の口を開けたまま使用する人もいるかもしれませんが、ニカラグアでは格好のターゲットにされてしまいます。

ローカルマーケットで、知らない人に何か質問をされて答えている間に、別の仲間にバッグを盗まれたといったケースもあります。

現地の人でも一瞬の気のゆるみで被害に遭ってしまうのです。

特に、Mercado Oriental(メルカド・オリエンタル)というローカルマーケットではスリ被害が多発していて、現地の人からは絶対に一人では行かないように注意されます。

中米で最大規模のマーケットで、「ここにないものはない」とまで言われています。

珍しいものや掘り出し物もあるはずですが、どうしても行ってみたい場合は現地の人に同行してもらい、あまり奥の方まで入り込まないようにしましょう。

強盗

2018年12月には日本人が強盗の被害に遭う事件がありました。夕方6時ごろ、路上を歩いていた時に狙われたとのことです。

「少しの距離だから」と思って油断をしてしまうと被害に遭ってしまいます。

夕方以降の時間帯に徒歩で移動するのは控えましょう。

外出する際は「盗られてもいい」と思えるくらい必要最低限のものだけを携行するようにしましょう。

2人乗りのオートバイでのひったくりもあります。女性のハンドバックは狙われやすいので、鞄は道路の反対側に持つように習慣づけるとよいです。

また、路上でスマホを使うのもあまりお勧めできません。

車上荒らし

ガソリンスタンドの売店で買い物をしている一瞬の間に、止めていた車の鍵を壊されて中に置いていたバッグを盗まれたというケースがあります。

「鍵のかかる車内であれば大丈夫」
「少しの間だから大丈夫」
といった考えが隙をつくってしまいます。

貴重品は必ず身に着けておくようにしましょう。

信号待ちで停車している車からものを盗まれることもあります。

開いている窓から手を伸ばしたり、ドアを開けたりして盗むのです。信号待ちの時には、ドアのカギをかけて窓を大きく開け過ぎないように気を付けましょう。

善し悪しは別として、ニカラグア人の多くは、夜間の運転中は、赤信号でもなるべく止まらずに徐行して走った方が、強盗に遭う危険性が減るのでむしろ安全だと考えています。

また、車のパーツを盗まれるという事件も多発しています。

ニカラグアの車上荒らし

サイドミラーや、外接されているアンテナなど、日本では考えられないような部品が盗まれます。

それらの窃盗品もローカルマーケットで売り物になるからです。家の車庫は、外から侵入できない安全な場所に設ける必要があります。また、出かけた先で駐車する場合は、ガードの人の近くや明るい場所に止めるように意識しましょう。

家屋侵入

「泥棒が家に入ろうとした」あるいは「泥棒に入られてしまった」という話もよく耳にします。

ニカラグアの家屋

そのため、ニカラグアの家庭では番犬として犬を飼っている家が非常に多いです。

家の構造としては、玄関だけでなく、敷地全体を囲むようにフェンスを張り巡らし、フェンスにも鍵を付ける造りになっているのが通常です。

あるいは、ガードを立たせて安全性を確保している集合住宅街もあります。日本人では、このように安全性が守られたエリア内の家を選ぶ人がほとんどです。

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感染症の危険性

外務省安全ホームページでは、感染症の危険情報は出ていないとされています。

しかし、2019年は例年よりもデング熱の発症率が高く、ニカラグア政府は注意喚起をしています。

保険局の人が家を一軒一軒訪ね歩き、蚊が発生しそうなところを確認し、薬を散布するといった対策が取られているのですが、それでもニカラグアは非常に蚊が多いです。

現地の人はそれをあまり気にしないのですが、虫よけスプレーや蚊取り線香などで蚊よけの対策をしましょう。

家によっては蚊帳を使った方がいい場合もあります。

ニカラグアの蚊対策。デング熱に気をつけよう

また、ニカラグアではサソリに刺される危険もあります。

通常は岩の影などに隠れているのですが、不要なものをため込んでいると、家の中で遭遇する可能性もあります。

草むらなどにはなるべく踏み込まないようにし、踏み込む時にはサンダルではなく靴で行くようにしましょう。

また、すっきりと整頓された家を維持しましょう。ニカラグアの人にとっては、サソリに刺されることは蜂に刺されるのと同じくらいのこと、という認識です。

ニカラグアでは一人で出歩ける?旅行はできる?

ニカラグアにおいて、一人で外出することは、基本的には問題ありません。

日本人の女性でも、一人で車を運転したりタクシーに乗ったりして外出している人は多くいます。

もちろん、ローカルマーケットのような軽犯罪が多発する場所は行かないようにしたり、暗くなってからの一人での行動は避けたり、携行物は最小限にしたりといった注意は必要です。

日本人は否が応でも目立ちます。そのことを肝に銘じたうえで行動しましょう。

特に女性に対しては、知らない男性が声をかけてくるのはしょっちゅうです。その際の一番の対応は、相手にしないことです。

家族で滞在・旅行できるか

ニカラグアに家族で滞在することは可能です。

現に、小さい子供連れで滞在している日本人も少なくありません。

ただし、ワクチン接種、蚊対策、日焼け防止といった事項は日本にいるときよりもより一層注意を払う必要があるでしょう。

また、日本人学校はないので、子供が大きくなると治安面ではなく教育面を理由に家族での滞在を断念せざるを得なくなるかもしれません。

ニカラグアのタクシーは注意!コンフォートピンクがオススメ

タクシーは、残念ながら必ずしも安全とは言い切れません。

ニカラグアのタクシー

それでも、自家用車がない場合は、生活や旅行をするうえでタクシーに頼らざるを得ないこともあるでしょう。

その際に気を付けるべき事項をお伝えします。

注意点

ニカラグアのタクシーは、何人かの乗客が相乗りするのが通常です。

ですが、ドライバーや他の乗客がグルになって誘拐するケースが発生しているので、相乗りはなるべく避けるようにしましょう。

呼び止めたタクシーに既に別の乗客が乗っている場合は、見送って次のタクシーを待つことをお勧めします。

バックパッカーとして旅行中に、タクシーでの誘拐・窃盗に遭ってしまった外国人旅行客によると、相乗りしてきた犯人は一見人柄がよく、最初は親しげに話しかけてきて身なりも整っていたそうです。

しかし、ドライバーとグルになって人気のないATMまで連れていき、現金を引き出すことを強要したとのことです。

相手の印象だけで犯罪を避けることは難しいので、常に警戒心を持っていることが大切です。

タクシーでの誘拐・窃盗事件は、旅行客を狙って空港や長距離バスのターミナルなどで起こりやすくなっています。宿泊施設では空港などから送迎サービスしていることも多いので、活用すると安心です。

信頼できるドライバーやタクシー会社を探す

日常生活でタクシーを利用する場合は、信頼できるドライバーを見つけて、予約することがお勧めです。

よく利用する行き先も覚えてもらえるので、毎回値段交渉をしたり行き先を説明したりする手間も省けます。

女性がタクシーを利用するのは男性以上に不安があるでしょう。

Comfort Pink(コンフォートピンク)というタクシー会社は、ドライバーが全員女性で、乗客も女性だけを対象にしています。

こういったサービスを活用するのも、安全・安心にタクシーを利用する一つの手段です。

Comfort Pink(コンフォートピンク)電話番号:+505 2220 3636/ +505 8332 0332

自然災害の危険性

地震

ニカラグアは火山の国です。そのため、体感できる地震も1,2か月に1回程度の頻度で発生しますが、微弱なことが多いです。

地震に慣れている日本人にとっては何ということもないと感じると思いますが、小さな地震でもニカラグアでは屋外に避難する人が多いです。

建物の強度も日本とは異なりますので、万が一のために他の人たちに倣って外へ避難しましょう。

マグニチュード7を超える規模の地震も数年に一回発生しています。

1992年9月2日には、116人の死者が出る地震がありました。

被害者の多くは、地震によって発生した高さ8メートルもの津波によって命を落としたとのことです。

もし、海岸沿いにいるときに自身が発生した場合は、津波に警戒し、海から離れましょう。

1972年12月23日に発生した地震は、ニカラグアの首都マナグアに壊滅的な被害を与え、死傷者は3万人を超えたとも言われています。それもあって、マナグアにはあまり高い建物がありません。

いつ、次の大きな地震が発生するか分かりません。

道路や電気、水道といったインフラは日本よりも脆弱なので、災害があった際の復旧には時間がかかることが予想されます。食料や飲料水の備蓄など、備えられることは対策をとっておきましょう。

ハリケーン

ニカラグアでは、例年6月から11月がハリケーンの季節です。

ハリケーンで暴風雨が発生すると、道路が冠水して川のようになったり、海岸沿いでは家が流されたりといった被害が発生し、死者が出ることもあります。

また、丘陵地が多いため、地方では土砂災害も起こります。ニカラグアは天気が変わりやすいので、日頃の天気予報はあまり参考にならないのですが、ハリケーン情報はしっかり押さえるようにしましょう。

万が一のときのニカラグアでの緊急連絡先

普段気を付けていても、運悪く犯罪や事故などに巻き込まれてしまう可能性はゼロにはできません。

万が一トラブルに遭ってしまったときに役立つ連絡先をまとめました。

名称 電話番号
警察 118
消防署/救急車 115(携帯電話からの場合は911)
電話番号照会サービス 113
空港 2233 1539
在ニカラグア日本国大使館 2266 8668~8671

※ニカラグアの国番号は+505です。

在ニカラグア大使館は、ニカラグアの安全情報をメールマガジンで配信しています。

例えば、デモが予想されている日時や場所などが通知されるので、そういったエリアに不用意に近づくことを避けることができます。

また、3か月以上滞在する人は在留届、3か月未満の滞在の場合はたびレジへの登録を行っておくと、いざというときの緊急連絡などを受けられます。

メールマガジンの登録、在留届、たびレジへの登録はいずれもオンラインで簡単に手続きできます。

外務省 海外安全情報配信サービス – たびレジ:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/index.html

在ニカラグア日本国大使館ホームページ:https://www.ni.emb-japan.go.jp/itprtop_ja/index.html

ニカラグアの治安まとめ

注意喚起のため、少し不安をあおるような内容が中心になってしまいましたが、ニカラグアでは基本的には穏やかな日常が流れています。

2018年のような大きな混乱はもう見られません。そのため、旅行者も滞在者も渡航を断念するほどの危険はありません。

ただし、外務省のホームページにも書かれているように、十分に注意する必要はあります。

一度犯罪などのトラブルに巻き込まれてしまうと、せっかくのいい思い出も台無しになってしまいます。みなさんが安全に、ニカラグアでの時間を楽しめることを願っています。

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