多くの民族から成り立つ多民族国家・ミャンマー。
面積は日本の約2倍もあり、近年は多くの日系企業が進出しています。
ミャンマーへ4年半の赴任経験を持つ、チャボウさんに、生活の内情や魅力についてお聞きしました。
ミャンマー生活をすることになったきっかけは赴任
きっかけは会社のミャンマー支店の立ち上げでした。
住んでいたのはヤンゴン。ここに4年半の間、滞在していました。
実は、私はアメリカに行きたい気持ちが強かったこともあって、それまで数回断っていたのです。しかし、シンガポールに赴任していた友人の勧めもあり、ミャンマーへの赴任を決断しました。
実際に赴任した経験を持つ友人からのアドバイスが決め手でした。
ミャンマーの魅力
治安が良くて安全
移住の魅力というほどのものではありませんが、ミャンマーは他の国と比較して、治安が良い国です。
特にヤンゴンは危ない地域やスラム街もほとんどなく、優しい人が多いので、観光には向いている場所だと思います。
特徴的なのはお寺が多いこと。
仏向めぐりが人気で、特にシニア層にはおススメです。
ちなみに、外国人が入れるエリアは国土の約3分の1です。
衝突が起きているような場所には立ち入れないようになっているので、心配は要りません。
未開の観光地
現在、ミャンマーの企業や団体は観光整備に動いています。
最近”解放”された観光地が2つあります。
それは、
- カクー遺跡
- ピイ
という所です。
昔は入れなかった場所が整備されて観光地になっています。
これからもそうした場所は増えていくでしょう。
Wifiが多い
日本よりもWiFiスポットが多いように感じました。
街に出れば、レストランやカフェを中心にWiFiスポットが多く存在します。
そのため、スマートフォンの通信料が高くなってしまうようなことはありませんでした。
ミャンマーのネガティブな面を挙げてみると
物価はタイよりも高い
日本よりは物価は安かったですが、タイと比較すると高かったです。
その要因は、輸入品に頼っていて、自国産業が育っていないところにあるようです。
日本人とのギャップ
日本人とミャンマー人では価値観にも大きな違いがあります。
仕事も、日本と同じスピードでは進みません。
ミャンマー人の性格は?
ミャンマー人の価値観は、日本人とは大きく違いました。
上記のネガティブな面でも触れたように、仕事をしていく上では、日本以上に確認の連続でした。
責任逃れをする傾向があったり、指示を出しても動いてくれなかったり、一回言ったことをやってくれなかったり…。
道端にごみをポイ捨てする光景も良く見かけました。
でもミャンマー人はまじめな性格なので、こちらが丁寧に教えれば、その分仕事をしてくれます。
多民族で成り立つからこそのミャンマー
その上で大切なのは、ミャンマーは100近い民族から成り立っており、それぞれの慣習があります。
「ミャンマー人」として一括りには考えられないことです。
国民の中でもセレブな層に関しては、非常にモラルがあります。彼らとは一緒にご飯を食べに行ったりだとか、良い意味で柔軟な対応力を持った方々だと感じました。
女性がしっかりしている国
ミャンマーでは、女性の方がしっかりしていると聞きます。
男は家でのんびりして、女性は働いて稼ぐという価値観もあるようです。
私の知り合いの両親は、父がタクシー運転手、母が中央銀行で働いているという家族でした。
ミャンマーでの実生活は?
私が住んでいたのは、ヤンゴン市内のローカルアパートです。
家賃はおよそ10万円(光熱費別)で、広さは60㎡。ヤンゴンでは安い部類に入ります。
ミャンマーは核家族で住むことが多いので、一人暮らし用の家と言うのはあまり多くありませんでした。
どんな生活なのか、ご紹介すると
1.設備
日本のアパートとは、設備も全然違いました。
私の住んでいたところはお風呂がなくシャワーのみでしたが、お湯は出ませんでした。
そのため、通っていたジムでシャワーを浴びて帰宅する生活を繰り返していました。
2.食費
水がきれいではなく心配だったので、食事は基本的に外食でした。
一週間の食費をまとめるとこんな感じです。
- 平日:15ドル
- 土曜日:25ドル
- 日曜日:60ドル
平日の朝と夜はホテルで食べていました。週末になると、ビュッフェを食べるというのが楽しみの一つでした。
1か月あたりに換算すると、日本円で5万円ほどでした。
3.苦労
住まいが決まるまでは、かなり大変な思いをしました。
当時のミャンマーには、色々な企業が視察に訪れていました。
そのため、ホテルの需要に供給が追い付かず、長期滞在が許されないことも多々ありました。
場所によっては、1泊しかできないところもありました。
仕事をしながら、今日はどこに寝泊まりするか考える、そんな時期もありましたね。
ミャンマーのコミュニティで良い出会い!
私はミャンマーで仕事をする一方、外国人サッカーチームに所属していました。
海外の人と関われるコミュニティを探していたのです。
そこでの体験は、約4年の滞在の中でも印象に残っているものの一つです。
チームにはミャンマー人だけでなく、イギリス、アメリカ、イタリア、メキシコ、ニュージランドなど、様々な国籍の方が集まっていました。
私は唯一の日本人としてプレーしていました。日本人として誇りを持てることが本当にうれしかったです。
そのコミュニティで、セレブ層のミャンマー人と出会い、「ミャンマー人はひとくくりにできないな」と知ることが出来ました。
また、東南アジアではフェイスブックが非常に人気です。
知らない人からリクエストが来たりだとか、そうしたコミュニティもありました。
ミャンマー渡航前に以下のことは抑えておこう
現地生活や観光に関わらず、以下のことはミャンマー滞在では抑えておくと良いので、ご紹介したいと思います。
ミャンマーのタクシー選びは慎重に
タクシーは交渉制です。
電車が通っていないので、移動のほとんどはタクシーを使います。
注意しなければならないのは、外国人を見ると金額を釣り上げてくる運転手がいることです。
そのような場合に備え、私は「ここに住んでいるよ」と運転手にアピールし、危ないと感じたらそのタクシーには乗らず、他をあたることを徹底しましょう。
ミャンマーの気候
ミャンマーは4月から10月までが雨季です。
現地人によれば、
- 雨季
- 乾季
- 冬
の3つがあるそうです。
比較的涼しいのは12月と1月。
もし観光に訪れるならば、その時期がおススメです。
スマホには注意しよう
スマートフォンについては、現地でSIMカードを購入してチャージしていましたが、SIMロックがかかっている場合は解除しましょう。
SIMカードの売店は町中にあります。
コンビニなどで購入し、プリペイドカードの裏に書いてある番号を入力すると、チャージされるシステムでした。
通信料と電話料合わせて、月々2,000〜3,000円でした。
これでも多い方なので、もっと安く済ませることができると思います。
ただ、SIMフリーにしてミャンマーに行ったら、SIMを入れた時点で壊れることもあるので、スマートフォンを現地で購入してしまうのも一つの手だと思います。
ミャンマーへ長期滞在する上での注意点
高額な製品は持ち込まない方が良いでしょう。
私の知り合いで、水圧の歯ブラシを持ち込んだ人がいたのですが、電圧の違いですぐに壊れてしまったという話を耳にしました。
それから、市販の薬の効き目が薄いので、日本の処方箋でもらえる薬を持っていくのが賢明です。
ちなみに、ミャンマーには耳かきがありません。
ミャンマーに移住してわかったこと
日本とは習慣も価値観も違う国なので、大変なことも多くありました。
私の場合は支店立ち上げだったので、軌道に乗せることと、ミャンマー人の性格や習性を理解することを、同時進行でやっていくのに苦労しました。
しかし、そういった環境に身を置いて生活することで、日本にいた時にはなかった視点が生まれたり、現地でしか知り合えない人に出会えました。
ミャンマーは発展途上の国です。
徐々に観光整備もなされ、仕事面でも環境が整ってきました。
2017年は空港の新ターミナルがオープンするなど、成長を遂げつつあります。
是非一度、あなたもミャンマーに足を運んでみてはいかがですか?