日本人に人気の海外移住先といえば、東南アジアやオーストラリア、カナダなどですが、せっかく海外に行くのならば、未知の世界に飛び込んでみたい、と考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はそんな冒険心あふれる皆さんに、知られざる国マケドニアに移住した方から、その移住先としての魅力をご紹介いただきます。
マケドニア共和国とは
マケドニア共和国は、東欧南部のバルカン半島にある、国土が約2.6万㎢ほど、人口が約210万人の海のない内陸国です。
近畿地方より少し小さい位の広さですから、国としてはかなり小さいほうですよね。
マケドニアと聞いて、「アレクサンダー大王」を連想した方もいるかもしれません。
そう、その昔大帝国を築いたアレクサンダー大王は古代マケドニアの王で、今でもこの国の英雄です。
街のあちこちで彼の彫像を見ることができます。しかし、大変複雑な変遷を経て現在の国の形になったため、周辺国(特にギリシャ)との間に国名をめぐり争いがあり、国連や日本政府における正式国名は1991年の独立まで属していたユーゴスラビアの名を残し、「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国」となっています。
主要な民族はマケドニア人で、マケドニア正教徒が多いです。
マケドニア正教はキリスト教の一派ですが、この国でのキリスト教の歴史は古く、国内の各地に教会がたくさんあり、信心深い人々も多いです。
一方イスラム教徒であるアルバニア人も増えているため、教会とモスクが狭い地域に混在している風景を見ることができます。
公用語はマケドニア語で、キリル文字を使うスラブ語系の言葉なので、なんとなくロシア語に近いと感じるかもしれません。
またこの地域は長くオスマントルコの支配下にあったため、ヨーロッパとトルコの文化が混ざった独特の雰囲気があります。
音楽や食事、言葉などにその一端を感じることができますので、ぜひ触れてみてくださいね。
さて、なんとなく興味が湧いてきましたでしょうか。
それではここから、マケドニア移住が魅力的な12の理由を、ご紹介したいと思います。
魅力その1:マケドニアは、生活費や学費が安い
まず、お伝えしたいのは、マケドニアは生活費がとても安いということです。
親子3人の場合、固定的な支出(家賃や水道光熱費、通信費、学費など)は月に5〜6万円くらいで、変動的な支出(食費や日用品・外食や娯楽など)を含めても月10万円程度で暮らせます。
特に食料品や衣料品の安さに驚きます。
食料品は新鮮な野菜や肉も手に入りますし、衣料品も意外とバラエティがあります。
また学費は小学校から高校までは公立校は無償だそう。
大学も国公立なら外国人留学生でも年間数万円ということで、驚きの安さです。私立は当然もう少し学費はかかりますが、現地の方でお子さんを通わせた経験がある方の話では、小学校から高校までのインターナショナルスクールや私立の大学は、概ね年間約40~60万円程度で通うことができるようです。
魅力その2:マケドニアは、治安がそれほど悪くない
マケドニアの国民一人あたりのGDPは日本の約1/3程度[1]なので、街の風景や人々の暮らしぶりを見ると、やはり貧しい印象を受けると思います。
そのために街も人も荒んで…と思いがちですが、実は治安はあまり悪くありません。
さすがに「治安が良い」とまでは言えず、実際に最近スリに合ったという日本人の話も聞きます。
しかし、深夜の街を女性一人で歩く姿もチラホラ見かけますし、毎日殺人や強盗事件が頻発したり、薬物の売人がウロウロしていたりといったことはありません。
また、夏の間は昼間が暑すぎるので子供たちは夜に外で遊んでいるのですが、小学生くらいになると子供達だけで夜遅くまで外にいるのを見かけます。
ただし、北西の国境付近の地域はアルバニア系の武装勢力と治安当局の衝突の可能性があると外務省が注意情報を出しています[2]。
魅力その3:マケドニアは、英語がけっこう通じる
公用語はマケドニア語ですが、少なくとも小学校に入る頃から英語を学校で学習するため、若い世代には英語が通じます。
また仕事を得るには英語力を求められるころが多いようで、放課後に英語教室に通っている子供も多いのです。
少し訛り(Rの発音が巻き舌っぽくなるなど)もありますが、比較的きれいな英語を話す印象です。
ただし40代くらいから上の世代は、話せない人の割合が増えます。
外国人が集まるような施設はもちろん、食事や買い物でも比較的若者が多いところは英語だけで済ませることができるのは、マケドニア語に慣れていない外国人にとっては助かりますよね。
魅力その4:マケドニアは、欧州主要都市が近い
マケドニアから格安航空会社を使えば、費用は1万円以内、フライトは1〜2時間で、欧州の主要都市に行くことができます。
また陸続きですから、車で周辺のギリシャやブルガリアなどに気軽に出かけることもできます。
例えば、マケドニアにはIKEAがないのですが、IKEAの製品の保有率は高いです。なぜか・・
それは、ギリシャのテッサロニキにあるIKEAに行って買っているからです。
あるいは、早朝便でウィーンに行って、クラッシックのコンサートを聴いて深夜の便で帰ってくる、といったことも可能なのです。
魅力その5:マケドニアは、医療も安心
病院は公立と民間があります。
公立病院は設備が古く、日本の病院に慣れていると少し心配になりますが、比較的軽微な症状なら、かかってもいいかな、という感じです。
民間病院は清潔で、医師の質もまずまずの感じで、ひとまず安心して診療を受けられるでしょう。
マケドニア在住者の方の話では、海外の医学部を経てマケドニアで働いている医師も多いそうです。なお民間病院なら英語が通じますので、言葉の問題もありません。
また歯科のレベルも高いと感じます。
周辺国から歯科の治療のためにマケドニアを訪れる人々もいるそうです。
一方、外国人でも公的医療保険保険に加入可能ですし、民間の保険もありますが、医療費が安いため、自費で診療を受けることも可能です。
例えば虫歯の治療のため民間の有名歯科クリニックで抜歯したケースでは、自費で7,000円ほどの支払いだったそうです。
魅力その6:マケドニアは、ネット環境が安心
マケドニアは通信環境が良好です。
家庭用の回線でも速度は問題なく、動画を見ていて止まったりすることもほとんどありません。
また、マケドニアには大通りの並木道沿いに素敵なオープンカフェがたくさんありますが、ほぼすべてのカフェで無料のWiFiが使えます。
素敵なカフェで優雅に仕事もできますが、マケドニアでは一人でカフェにいる人がほとんどいないので悪目立ちしてしまうのが、残念なところです。
魅力その7:マケドニアは、外国人が賃貸物件を借りやすい
日本では、外国人が賃貸物件を借りるのに苦労すると言われていますが、マケドニアは逆で、むしろ外国人に貸したいと思っている大家さんが多いです。
マケドニアに住もうという外国人は、大使館や企業に勤める人が多いため経済力があり(そう思われがちなため)、借り手として好まれるのです。
ちなみに建物の外観や共有スペースはものすごく古くてびっくりするようなマンションでも、部屋に入るととてもモダンでおしゃれな物件が多いんですよ。
魅力その8:マケドニアは、食事に癖がない
マケドニアの料理は、味付けがシンプルで、においや味のキツイものはないので、日本人の口に合います。
主食はパンやいろいろな種類のパイのようなもので、チーズやヨーグルトと一緒に毎日よく食べます。
いろいろな野菜料理や、肉のオーブン料理や煮込み料理が多く、見た目は素朴な感じですが、どれも大変おいしいです。
川魚をはじめとする魚もよく食べられます。
魅力その9:マケドニアは、日々のお出かけが楽
マケドニアの移動手段は基本的には車とバスです。
自家用車がなくてもバスがたくさん走っていますし、タクシー代が安い上に、街がコンパクトなので、時間やお金をあまり気にしないで乗れるので、日常生活での通勤通学や買い物の移動が楽です。
学生さんなどは自転車で移動する方も多いです。
ちなみに電車はありますが、首都と郊外、国外を結ぶ長距離列車なので、日常生活で使っている人はいません。
魅力その10:マケドニアは、天変地異が少ない
マケドニアは内陸国で周囲を山に囲まれている盆地なので、夏はとても暑く、冬はとても寒く雪も降ります。
しかし海がないので、湿気がなく、夏は40度を超えても日陰にいれば過ごしやすいです。
台風などもなく、雨が延々と降り続けるようなこともあまりありません。
洪水や山崩れがおこることもごくまれです。
また地震は1963年に大きな地震がスコピエでありましたが、その後は小さな地震がたまに起きる程度なので、ほとんど気にならないでしょう。
魅力その11:マケドニアは、少ない投資で起業できる
マケドニアは外国からの投資に多くの優遇策を用意しています。
加えて人件費や物価も安いため、進出にあたっての初期投資を低く抑えることができます。
また、欧州主要都市とのアクセスの良さもビジネスに有利でしょう。
なおまだEUには加盟していませんが、自由貿易協定をEU諸国と締結しているため貿易もスムーズです。
魅力その12:マケドニアは、心が豊かで明るい人が多い
マケドニアははっきり言って国も人もお金はありません。
それでも人々は、家族や友人との時間を何よりも大切にし、毎日仕事が終われば遅めのランチを皆で楽しみ、週末は近くの山でバーベキュー、夏は海、冬は雪山でバカンス、そんな日々を楽しんでいる人がたくさんいます。
もちろん、高級なホテルに泊まったりはできませんし、日本のような洗練されたアミューズメントパークや娯楽施設もありません。しかし安上がりではあっても驚くほど豊かな時間を過ごすことが可能な環境がそろっているのです。
またリラックスできるライフスタイルのせいか、ぎすぎす、いらいらした人はあまりおらず、また困っている人がいれば、知らない人でも全力で助けるなど大変親切な人にもよく出会います。
明るく話し好きな国民性なので、ちょっと茶飲み話を、と誘われて行ったら5,6時間過ごしていた、なんてこともざらです。
マケドニア移住の魅力のまとめ
いかがでしたでしょうか。
知られざる国マケドニアは、お金がなくても、楽しく暮らせる、コスパ!な移住先だったのです。
お金はあるけど、楽しく暮らせないという人が多くなった日本と真逆の世界観で、なかなか興味をそそられますよね。
ぜひ次の旅行先に加えて、その目で12の魅力を確かめてみて下さいね。
[1]:CIA “The World factbook”https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/geos/mk.htmlを基に試算[2] :外務省「マケドニア旧ユーゴスラビア共和国の安全情報」