ラトビアの文化と習慣・10選。異文化と伝統のなかで残ったもの

みなさんはバルト三国ラトビアの文化と習慣について、どのようなことを思い浮かべるでしょうか。

ラトビアは様々な国からの支配をうけてきた歴史から、外国の異文化の影響を大きく受けています。

それと同時に、歌と踊りといった自国の伝統を守り続けてきた意志の強さもうかがえます。

そんなラトビアの文化と習慣について、10選を紹介します。

まずは文化編から。

1. 自然を崇拝

ラトビアの主な宗教は、統計では

  • キリスト教(カトリック20%、プロテスタント17%)
  • ロシア正教26%

です。

とはいえ私の周囲にいる人に宗教観を聞くと、無宗教と答える人が多いです。

またキリスト教伝来以前より続く自然崇拝は広く受け入れられており、ラトビアの文化や習慣に深く入り込んでいます。

日本人が特に深く信仰する宗教はないけれど、自然の中に精霊的なものを感じ、お正月には神社に参拝するのと似たような感じでしょうか。

自然を愛するラトビア人らしく、その姓には木や動物など自然由来のものが多くあります。

初冬の森の遊歩道。冬でも雪の中をハイキングします。

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2. 歌と踊りが大好き

ラトビア人は歌の民族と呼ばれ、歌と踊りが大好きです。

かつてロシアの支配下にあった暗黒の時代にも、自分たちのアイデンティティを失わないために、歌い踊り続けてきました。

ラトビア民謡は120万曲以上あり、合唱や踊りを通して現在まで受け継がれています。

5年に一度行われる「歌と踊りの祭典」は1873年から始まった国家的イベントです。現在ではユネスコ世界無形文化遺産に指定されています。

祭典は夏に1週間にわたって行われ、合唱とフォークダンスが首都リーガのあちこちのステージやパレードで繰り広げられます。祭典には、総勢約3万人の歌い手と踊り手が参加します。

参照:歌と踊りの祭典最終日のクロージングコンサートは目玉の一つ

青少年版の歌と踊りの祭典も5年に一度、先の祭典とは2年ずれるタイミングで行われています。

よって子供のころから、これらの祭典に何度も参加している人も多くいます。

青少年版の祭典も大規模で、リーガの各所で1週間にわたって行われます。

地方の学校から参加する子供たちは、リーガの学校等の施設に団体で寝泊り生活をして、1週間続く祭典に参加します。

参照:青少年版歌と踊りの祭典のパレード

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3. 夏至祭(リーゴ)ではじける

6月23日から24日にかけての夜に、伝統衣装を着て自然の中でたき火を囲んで祝います。

男性はオークの葉で作られた冠、女性は野花で編んだ花冠をかぶります。花冠をかぶった女性はこの日だけ未婚者扱いになるそうです。

ビール、キャラウェイシード入りのチーズが必需品です。

夜通したき火が焚かれ、眠ってはいけません。みんなでリーゴのフォークソングを歌って踊ります。

途中、たき火を飛び越える儀式があります。たき火を飛び越えることで、人々は重荷から解き放たれるということです。

夏至だけでなく秋の収穫や冬至などにもそれぞれ祭りを楽しみ、自然との共生を重んじる文化が根づいています。

参照:夏至祭の様子

4. クリスマスの伝統

毎年11月下旬になると森へ行き、クリスマスツリーとする木を切りだしに行きます。

各家庭1本まで、国有林からモミの木をもらっていくことができます。

クリスマスツリーの飾りつけが終わったら、クリスマスまでその周りにプレゼントをどんどん置いていきます。

クリスマス当日は家族親戚が集まり、まずはご馳走やおしゃべりを楽しみます。

プレゼントタイムにはサンタクロース役がプレゼントを渡していきます。

しかしそれを受け取るには、伝統的な詩を朗読しなければなりません。

他の人の詩とかぶってはいけないので、子供たちはかなり緊張して朗読に挑みます。

サンタクロースの前で、詩の朗読の代わりに自分が習っている楽器を演奏する子供もいます。

5. 名前の日と誕生日

ラトビアには「名前の日」があり、誕生日と同じように盛大に祝います。

ラトビアのカレンダーには「名前の日」に該当する人の名前が書いてあります。

またニュースでも、毎日その日の名前を知ることができます。

カレンダーにない名前を持つ人は、毎年5月22日が名前の日となります。

カレンダーには各日1~5つの名前が書いております。

名前の日や誕生日には、当人がケーキやお菓子などを用意し、職場などへ持っていきます。

親しさにもよりますが、周りの人からのハグや頬へのキスをもらい、男性同士ならば握手をかわし、花束やチョコなどのプレゼントを受け取ります。

6. 食も自然派

春はハーブ、夏はベリー類、秋はきのこを摘みに、野原や森へ出かけます。

ハーブはフレッシュなままお茶として飲むのもおいしいですが、大半は乾燥させて保存用にします。

採れたてのベリーはそのまま食べたり、料理に使ったり、あとは保存用にジャムにします。

採ったベリーやきのこは、地元の市場で個人で売る人も多く、市場に行けばその時の旬のものを知ることができます。

3月になり春が近づいてくると、白樺の木から樹液を採取するため、木にバケツやボトルが括りつけられているのを目にします。

白樺ジュースはミネラル豊富で、ほんのり甘みがあります。デトックス効果があると言われ、期間限定の人気の飲み物です。

採れたての白樺ジュースは無色透明ですが、時間とともに発酵して白濁して味も変わってきます。どちらの味が良いかは、人それぞれです。

ここからは習慣編を紹介します。

7. 時間にまあまあ正確

ラトビアのバスや列車などの交通機関は、時間通りに運行します。

店の開店閉店も時間通りです。

この辺に日本人としてストレスを感じないのは、勤勉なラトビア人のおかげでしょうか。

個人的な待ち合わせについては人によるところが大きく、時間通りか遅れて現れます。

日本人のように早めに集まるということはないです。

相手が約束の時間に遅れていても、遅れる旨の連絡はたいていありません。

こちらから連絡をとってみるか、気長に待つほかありません。

8. 家族、親戚付き合い

ラトビア人は家族や親戚との付き合いをかなり大切にします。

夏至祭、クリスマスなどのイベント時に家族親戚で集まって祝うことはもちろん、普段の生活でもよく集まり、助け合っている印象があります。

しかし離婚、再婚も多く、子供は異母兄弟姉妹、異父兄弟姉妹がいるケースもよく聞きます。

そして離婚した元配偶者や、その家族とも仲良く付き合っていることが多いです。

ステップファミリーとして暮らしている知人によると「ラトビアは小さい国だからいろんなところで知り合いの関係がつながっている。だからうまく関係を保っていかなければいけない」ということでした。

嫌いな人とは縁切り、心機一転また別の場所で新しい関係を築くということは、ラトビアでは難しいのかもしれません。

9. あまり並ばない

バス停でバスを待つときは、誰も列に並びません。バスが来たら乗降口に群がります。でも長く待っている人が先に乗れるような、暗黙の了解がある気がします。

公共の施設などの待合室でも、列に並ぶことはありません。

そこに行ったら「順番最後の人は誰ですか?」と待っている人達に声をかけます。

そうすると順番最後で待っている人が手をあげるので、その人を覚えておき、順番が来るまで待ちます。

次に来た人が「順番最後の人は誰ですか?」と聞いたら、「私です」と手を挙げて示す、の繰り返しです。

最近では電子掲示板と番号札で順番が管理されているところが多くなったので、以前ほど声をかけて待つ機会は多くありません。

10. ネコを愛でる

ラトビア人はかなりのネコ好きです。

民家やアパートメントの窓辺でネコがくつろいで、外を眺めているのをよく見かけます。

また本屋、服屋などのお店の中に、ネコ様専用くつろぎスペースが用意されてたりします。

ですが、そこのお店のネコとは限りません。

ある店の窓辺でネコがくつろいでいたのを見たと思ったら、別の日に違う店の椅子の上で同じネコが寝ていたりします。

そして店によってそれぞれネコの呼び方が違います。

ネコ好きのラトビアらしいものとして、ラトビアの民話に基づいた「5匹のネコ」がデザインされた、とてもかわいいコインがあります。

参照:2015年発売の5ユーロコイン

まとめ

自然の中で歌って踊る。自然の恵みを自分で採りに出かけて食に取り入れる。

ラトビア人にとって、自然との共生はごく普通なことのようです。

首都リーガなどの都市部に住む人でも、よく週末は田舎の別荘や親戚宅に集まり、自然の中で親しい人たちとの時間を過ごします。

日本にあるような遊べるアトラクションが多くないのも、自然の中で過ごす時間が多い理由の一つかもしれません。

もしラトビアで暮らす機会があれば、このような自然を存分に味わえる文化や習慣をぜひ楽しんでください。

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