ドナウの真珠と讃えられた美しい街ブダペストを首都に持つハンガリーは観光地として日本の皆さんにお馴染みです。
また音楽の都ウィーンに近いこともあり音楽、バレエの留学先としても有名ですが、最近はハンガリーへの医学部留学が注目されているようです。
なぜハンガリーへの医学部留学が注目されているのでしょうか?
そのメリットは?
どのような手続きが必要なのでしょうか?
今回はハンガリーへの医学部留学についてお話します。
ハンガリー医学部留学のメリットとデメリット
ハンガリーで勉強して医師の資格を取ることにはメリットとデメリットがあります。
メリット
- まず、海外で生活し、勉強するという貴重な経験を得ることができることでしょう。
(これはあくまでも海外で生活してみたい、勉強してみたいという希望を持っている人限定になりますが。)
- 一番大きなメリットとしてはハンガリーで取得した医師免許はEU加盟27か国で有効であり、これらの国々で医師として働くことが出来ます。
(英国はEUから脱退しましたので。今はこれに含まれていません)
また、ハンガリーは日本に比べて物価が安いので、生活費、学費の負担は日本の大学よりも軽減されます。
デメリットとしてはやはり言語でしょう。
- 最近は英語が話せる人が増えましたが、主要言語はハンガリー語です。
授業は英語で受講することができ、試験も英語ですが、ハンガリー語の授業の受講も必須とされています。
大学内、病院内は英語で通用しますが、患者さんはハンガリー人がほとんどですので、ハンガリー語で問診できるレベルに達することを求められ、実際3年生終了後からは病院研修で実際の患者さんと接する機会を与えられます。
- また、ハンガリーの国立医大を修了しても日本の医師免許は与えられず、医師国家試験の受験資格を与えられるのみですのでこれもデメリットと言えます。
ハンガリーの国立大学医学部留学先
ハンガリーには日本人留学生を受け入れている国立大学医学部が4つあります。
1. センメルワイス大学医学部
首都ブダペストにあるセンメルワイス大学医学部
URL:https://semmelweis.hu/english/faculties/medicine/
2.ペーチ大学医学部
ブダペストの南約200kmのペーチにあり、ハンガリーで最も歴史の古いペーチ大学医学部
3.デブレツェン大学医学部
ハンガリーで2番目に大きな都市デブレツェンにあるデブレツェン大学医学部
URL:https://edu.unideb.hu/page.php?id=133
4.セゲド大学医学部
そしてブダペストから約190km南のセルビアとの国境近くのセゲドにあるセゲド大学医学部
URL:http://www.med.u-szeged.hu/english
学生数、日本人留学生の数ともに一番なのはセンメルワイス大学です。
首都ブダペストの中心部にありますので、生活面を考えると一番便利かもしれません。
空港から車で約20分、公共交通機関を使って約1時間という立地条件も人気の一つです。
また日本人学生が多いので心強いでしょう。
ブダペスト以外の都市の規模では、デブレツェン、セゲド、ペーチの順です。
ハンガリー唯一の国際空港があるブダペストからの距離はそれほど大きな違いがなく大体200km前後です。
いずれの都市へもブダペストの駅からインターシティという特急電車1本で行けますので、立地面ではあまり差はありませんが生活面では総じてブダペストよりも少し不便と言えるでしょう。
ハンガリーへの医学部留学流れ
ハンガリーへの医学部留学には主に2つの方法があります。
- 一つは医学部本コースを直接受験する方法
- もう一つは予備コースで半年か1年勉強し、その後で本コースに入学する方法
です。
本コースに直接入学することができれば予備コースの分だけ早く留学期間を終了することができますが、必要条件が厳しく、募集人員が少ないため、狭き門になっているます。
ハンガリーの学校は他の欧米諸国同様9月入学です。
従って高校在学中に本コースに合格したとしても、3月の卒業後9月まで待って大学に入学することになります。
大学が夏休みに入る6月までに学生ビザ(滞在許可証)を取得してハンガリーへの入国を果たして9月の入学に備えるのが一般的です。
これは予備コースの場合も同様です。
予備コースは通常1年ですので、3月卒業後、6月までに渡航を済ませ、9月に予備コースに入学。
順調に行けば翌年の9月に本コース入学となります。
予備コースには半年で済ませる短期集中予備コースというものもあります。
これは高校3年生の間に審査を済ませ、1月に卒業を待たずに渡航、6月までの半年間で予備コースを終えて9月から本コースに入学できるというものです。
短期予備コースは高校在学中に渡航をしなければならないため、学校側の理解と承認が必要です。
予備コース、本コースともに入学には入学願書(Application form)と志望動機書(Motivation letter)の他に最終学歴の卒業証明書と成績書が必要になります。
これらはもちろん学校に英語で作成してもらう必要があります。
受験科目は生物、物理、化学と英語になります。
理科系の科目は学校によって条件が異なりますが3科目のうち2科目が必須となります。
英語はもちろん必須です。
英語の成績が悪い場合にはさらに3ヶ月の英語研修(Pre-sessionalコース)の履修を求められる場合があります。
日本人のためのハンガリー医学部留学のサポート体制
ハンガリーへの医学部留学は、新宿にオフィスがある「ハンガリー医科大学事務局」がサポートしてくれます。
現地にも事務所があり、申請、渡航準備、学生寮やアパートの紹介などを行ってくれます。
また、現地オフィスにはコーディネーターが常駐していていつでも相談にのってくれるだけではなく、自習室も用意しており、勉強に専念できる環境を提供しています。
また、日本の医師免許受験のための申請サポート、受験対策のサポートなどハンガリーの医学部卒業後の進路のサポートも充実しています。
ハンガリー医科大学事務局のウェブサイトは以下になります。
URL:https://www.hungarymedical.org/
ここから各医科大学の情報へもアクセスできますので、ぜひ参考になさってください。
ハンガリーの医学部への留学費用は70万円から
ハンガリーの医学部の授業料は大学によって異なりますが予備コースが年間75万円から80万円、本コースが185万円から200万円です。
これは日本の国立医大に比べると高いですが、私立の医大と比べると半分以下の費用ではないでしょうか。
生活費は住む都市と生活スタイルにもよりますが、ハンガリーは物価が安いのため100万円から150万円くらいで日本の平均的な大学生の生活を維持できそうです。
以上の費用は2019年の情報に基づいています。
授業料は年々上がっていますし、為替レートも変わりますので、最新の情報をハンガリー医科大学事務局より入手してください。
また、授業料、生活費には渡航費用、保険料、教科書代、病院実習費用などは含まれていませんのでこれも事前にご確認ください。
授業内容とその後の進路
ハンガリーの医学部での授業と試験は英語で行われますので医学用語をすべて英語で理解し、覚える必要があります。
これとは別に、患者さんへの対応のため、患者さんの問診時に使用する一般的な医学用語と基礎会話能力を病院実習が始まる3年生までに習得することを要求されます。
これに加え、日本の医師国家試験を受けるのであれば、すべての用語を日本語で覚え直す必要があるため、3ヶ国語で勉強することになります。
卒業後の進路としてはハンガリーはもちろん、EU諸国での医療機関、日本の医師免許を取得できれば日本の医療機関で働くことができます。
また、発展途上国の医療機関や国連の関連機関で国際貢献に従事することも可能になります。
ハンガリーへの医学部留学のまとめ
ハンガリー医学部への留学は言語面での苦労、日本の医師免許を得るためには別途国家試験を受ける必要があるなど、大変な面もありますが、海外生活を体験できる、費用がそれほど高くない、グローバルな活躍の場を得るチャンスがある、など、魅力的な面も多くあります。
医学生としてハンガリーでの生活を満喫し、グローバルな活躍ができる医師になるというのも素敵な人生プランではないでしょうか。