東欧の小国ハンガリー。そこに住むハンガリー人ってどんな人達だと思いますか?
日本から遠く離れた国なので、国民性もさぞかし日本人と違うだろうとお思いでしょうが、「ハンガリーのハンはフン族のフンから来ている」と言われる通り、アジアの血も多く入っています。
その影響か、ハンガリー人は日本人に似ていると感じることも多くあります。
しかし、文化的にも人種的にも西欧との交流が盛んなため、日本人にはない外向性や積極性を感じることもあります。
ここでは、現地在住者からハンガリー人の性格と特徴について紹介します。
ハンガリー人は悲観的?
ハンガリー人は悲観的という話を読んだことがあります。
根拠として、ハンガリー国歌が挙げられています。
この国歌の歌詞が「なぜ我々をこんなに長く罰するのですか?」というような意味の神への問いかけになっています。
このような歌詞は世界的にも珍しく、普通は国民を鼓舞するか、国家元首を称えるものが一般的です。
また、オスマン・トルコによる一時支配や第一次、第二次世界大戦の両方で敗戦国になってしまった歴史も、ハンガリー人悲観的説を補足していました。
しかし、実際にこの土地でハンガリー人を観察していると「悲観的」という言葉がおおよそ当てはまらない、陽気な人達ばかりです。
もちろん時と場合によって真面目に議論をしたりしますが、悲観的なことはなく、むしろ建設的で前衛的な印象を受けます。
子供好きで子連れに優しい社会
ハンガリー人は子供好きです。
特に年配の方々に子供好きが多いように感じます。
公共交通機関のバスや電車の中で赤ちゃんを連れている人を見かけると即座に席を譲るのはもちろんのこと、ぐずっている赤ちゃんをあやしてくれる人も少なくありません。
日本でも数十年前にはそのような光景が見られましたが、今では珍しいのではないでしょうか?
また、ハンガリー人の子供好きに年齢、性別の差はなく、おじいちゃんや若い男の人が赤ちゃんを見て目を細めているのをよく見かけます。
もちろん子供、特に女の子は赤ちゃん好きらしく、ベビーカーに赤ちゃんを乗せて歩いているとほぼ必ずのぞき込まれます。
家族の絆の強さ
ハンガリー人は家族の絆が強く、お互いに助け合って生きているように感じます。
子供は独立しても親からはあまり遠く離れず、何かあったらお互いにいつでも駆けつけられる距離を保っているケースが多いです。
結婚前の若い頃にはフランス、イタリア、スペインなどに留学するような人達も多くいます。
このため100%親にべったりというわけでもなさそうですが、結婚して子供が生まれると、両親二人とも仕事が忙しい時など、おじいちゃんおばあちゃんに子供の世話をお願いする、また、親が年老いて不便を感じるようになると頻繁に家を訪れるなど、うまく助け合っています。
しかし、若い独身男性が毎週末実家に帰って月曜日に母親の手料理を大量にタッパーに詰め込んで出社するというケースもあり、これは少しやりすぎかな、とも思います。
日本ならマザコンを疑われるかもしれません。
事実、ハンガリー人男性マザコン説というものもインターネットの記事で読んだことがあります。
しかし、これは家族を大切にするハンガリー人の特徴の現れなのではないかと、子供を持つ身になってから思うようになりました。
コネが大事?
ハンガリー人は人と人のつながりを大切にするためいわゆる「コネ」が重要な役割を示すことがあります。
最初は事務的だった八百屋のおばちゃんが定期的に通い、顔を覚えてもらうと次第にやさしくなり、おまけなんかをくれるようにもなります。
実際に体験したこととして、市場のよく行く八百屋でみかんを買おうとしたところ、店員さんに「これは甘くないからやめたほうが良い」と言われました。ついに顔を覚えてもらったようです。
病院や役所に電話するときも自分で英語で電話する場合と知り合いを通じて電話して貰う場合では扱いがずいぶん違います。
第2子の長男が生まれた時など、生まれる前から「出生証明書」の件で知り合いに役場に何度も問い合わせてもらっていたおかげで、実際、私が一人で役場に赴いたときには、電話で対応してくれた人が別の部屋にいたにもかかわらずやってきて、いろいろと助けてくれました。
ハンガリーと自分の故郷が大好き
既に紹介したように、家族の絆を大切にするハンガリー人は、地元愛にも燃えているようです。
ハンガリーという国家そのものには批判もあるようですが、国土も含めて自分の生まれ育った土地をとても愛していて、自慢にも思っているようです。
自分の故郷の話になると、どこにあって、どんなものが美味しくて、などと嬉しそうに話しています。
その街で土地で生まれ育った人が街を案内してくれるときには、「あれが私が通っていた小学校、母も娘も同じ学校、大学もここだし、留学以外で街を出たことがない」と誇らしげに話してたりもします。
酒とダンスと甘い物
ハンガリー人は酒とダンスと甘いものが大好きです。
東欧の大体の国や旧共産圏(ロシアなど)は冬も寒く、強い酒を好んで飲むことで知られていますが、ハンガリーにも「パリンカ」という強い蒸留酒があります。
このパリンカ、果物を発酵させて作るのですが1年に30リットルまでなら家庭で作っても良いという法律があります。
各家庭で作った自慢の「ホームメード・パリンカ」をペットボトルの空き瓶に入れて皆に振る舞います。もっともそんなことができるのは広い家と庭を持っているブダペスト郊外や農村地域の人達のようです。
ハンガリーに移り住んで間もない頃、街の雑貨屋で大学の化学実習で使った蒸留装置(いわゆるエバポレーター)が売っていて「なぜこんなものが??」と不思議に思いましたが、後に合点がいきました。
また、ハンガリー人はダンスも大好きで、私の会社のクリスマスパーティーなどのときには最後には会場はダンスホールとなり、皆踊っています。
ダンスに馴染みない私などは入って行きにくい状況ですが、とても楽しそうです。
特筆すべきはハンガリー男性達の甘い物好きです。
ハンガリーでは冬が終わるとアイスクリームを売る店や屋台がそこここに出現し、年齢、性別に関係なく、男性も若者からおじいちゃんまでが列にならんでアイスを買い、ほおばっています。
カフェで男性のグループがケーキやパフェを食べている姿を目撃するのも珍しくありません。
これらのことからも周りの目を気にせず、自分が楽しい、やりたいと思うことは思い切り楽しむハンガリー人気質を知ることができます。
3つの日本人と似ているところ、違うところ
最後に、ハンガリー人を観察していて、「ここは以外にも日本人に似ているな」と思う点と「日本人とはずいぶん違うな」と感じる点を紹介します。
1.信号待ちができる
まず、他の国民と比較して「日本人に似ている」と感じるところとして「信号待ちができる」があります。
交通量の多いブダペストに住んでいるからかもしれませんが、信号をきちんと守る、しかも車が来ていなくても赤信号で待っている歩行者が多いのを見て「欧米人でもこんな日本人みたいな律儀な人種がいるんだ!」と驚きました。
ロンドンなどでは信号を守っている人のほうが圧倒的に少ないです。
2.喫煙マナーは悪い
反面、喫煙マナーはよくないです。
ハンガリーでも法律上路上喫煙は禁止されていますが、守る喫煙者はいません。
10m先に灰皿が設置されているのに、わざわざ灰皿のないところで吸う。
歩きタバコは日常茶飯事。
制服を着た警官が路上でタバコを吸っているくらいなので、始末におえません。
どうして信号を守れる人達が喫煙ルールを守れないのか?不思議に思います。
3.辛抱強く待つことができる
また、辛抱強く待つことができる点も日本人に似ています。
レジや病院の受付などで、こちらが並んでいて、手が空いてそうな従業員はいるのに対応しないような時でも文句を言わずにおとなしく並んでいます。
職務規定がはっきりしていて、やるべき仕事と時間がきっちり契約で決められていて他人の仕事には手を出さないというスタンスがはっきりしているためとは思いますが、もう少しフレキシブルに対応してくれないかと思うこともあります。
待たされることを苦に感じないのはもしかしたら共産主義時代のなごりもあるのかもしれません。
ハンガリー人の特徴まとめ
ハンガリー人の性格と特徴は東洋と西洋が入り混じったハンガリーの土地柄をよく表している思いませんか?
時には日本人として共感できる律儀で真面目な点を見せ、時には欧米人のような陽気さと外向性を見せる。
そんなハンガリー人ですので、日本人にはとても友好的です。
ハンガリー人の特徴を理解して一日でも早くハンガリー人社会になじんで楽しいハンガリーライフを送りましょう。