どの国でもその風土にあった食文化を持っています。
ハイチは年中暑く、暑さだけでもパワーを失います。
ここではハイチの人々が暑さに負けずパワーを保て、病気を予防するように工夫して食べている食べ物や飲み物をご紹介します。
ハイチの食文化と習慣。食事は食べたいときに、食べられる時にが基本
早朝より仕事や出かける事が多い為、ハイチ人の朝食は遅めで10時頃に食べる人が多いです。
学校に行っている子供たちも10時の休憩時間に簡単な朝食を取ります。食事は基本的に朝、夜が軽めで昼ごはんがメインです。平日は露店でお弁当を買って食べている人が多いです。
日曜日は特別で礼拝が終わった後、時間をかけて昼食(早い夕食に近い時間)をつくり家族で囲みます。
基本的な考えは「食べたいときに食べる、食べられる時に食べる」で忙しかったりお腹が空かなかったら1日3食たべない人もいます。
決められた時間に食事をする習慣を持つ日本人と比べればとても合理的に感じます。(昼ごはんがメインですが、かつてスペイン領だった国のようにシエスタの文化はありません)
ハイチ料理の特徴
基本の形は、主食とおかず(肉、魚介類)と野菜もしくは主食と肉、魚介類入りソースです。
ハイチ料理では豆をよく使います。
柔らかく茹でて、ゆで汁ごとご飯に炊きこんだり(炊きこみごはんのように味つきです)、つぶしてソースにしたりします。
豆の種類も豊富ですが黒豆(黒大豆)がよく使われます。
味のベースとなるのは、ライ(ニンニク)とポワウォー(葉ニンニク)、塩で、肉や魚貝類もニンニク、葉ニンニクをつぶした物に油を加えた物(エピスと呼ばれる)に塩、固形スープや胡椒、マスタードを加えて味付けします。
基本的に肉や魚介類はシトロン(ライムレモン)かゾーランジシー(香酸かんきつ)で殺菌し味付けして煮込むか、煮込んでからフライにします。
煮込む際には ピーマンピケ(ハバネロ)、タイムや西洋パセリなどのハーブを加えて風味を付けます。
ハイチの主食はお米、トウモロコシ、芋類、バナナ等
・お米
長粒米。
エピスと塩、固形スープの素と一緒に炊きます。風味やコクを付ける為にココナツミルクやバターを加える事もあります。
(お祝いなどの際、ハイチ産のジリシエラという黄色い長粒米が使われるこ とがあります)
・トウモロコシ
乾燥させ挽いて粒状にしたものをマイムレと言いますが、エピスと固形スープの素、塩と共に煮込みます。
マイムレだけの場合や煮豆、野菜と一緒に煮込む場合もあります。
また生のトウモロコシを炭焼き(ブッカーネー)にしておやつとしても食べ ます。
※トウモロコシは様々な料理やおやつの材料になっています。例を上げるとスナック菓子、AK-100(アカサン:後に記述しています)、ラブイ(オートミールのトウモロコシの粉を使ったもの)、クレーム・マイ(アイスキャンデー)など
・イモ類
ヤム、マニヨック(キャッサバ)
ニンニクと塩を入れ茹でます。
・バナナ
数種類あり茹でたりフライにしたりします。フルーツのバナナの青い時期を使う事もあります。青いバナナなので甘くはありません。
・パンの実
ラムベリタブルと呼ばれ茹でたり、フライにしたりします。(英語ではブレッドフルーツと呼ばれます)
おかずに使う肉、魚介類
・肉
牛、鳥、豚に加え日本ではあまりなじみのないヤギやターキーもよく食べられています。
・魚
ハイチで捕れるものはカラフルな魚が多いですが、地域によってはイワシやアナゴ、うなぎが捕れます
・貝
ランビと呼ばれるコンク貝を食べます。
その他シリック・クラブ(カニ)、オマー(ロブスター)も食べます。
ハイチの定番料理
・肉の唐揚げとバナナフライ(塩味)とピクリーズ
場合によってはご飯とソース(肉の煮汁に玉ねぎやトマトペーストを加えた物)
・ソースビアン
肉や魚の煮込みソースと主食
・ソースポア(豆ソース)と主食
豆をニンニクと葉ニンニク、油を入れて煮て潰し、ゆで汁と水で伸ばし固形スープの素などで味付けします。(ぜんざいに似ていますが塩味です)
・ソースレギュム(野菜ソース)と主食
茹でてつぶした野菜(キャベツ、ウリ、ナス、にんじん)と煮込んだ肉を併せて更に煮込んだソースです。小ぶりのカニが入っている場合もあります。
※主食にかける汁状のものを全てソースと言います。
※揚げ物には必ずピクリーズと呼ばれるピリ辛な野菜の酢漬けが添えられています。
材料はキャベツ、玉ねぎ、にんじんとピーマンピケ(ハバネロ)で酢やライムレモン、塩と固形スープの素で味付けされています。トマトが入っている場合もあります。
朝食の定番
・スパゲッティ
アランソと呼ばれるにしんの燻製をエピスと一緒につぶした物が入っていて、ケチャップをかけて食べます。(季節によってアボカドが添えられる)
・パンとコーヒーかホットチョコレート
パンにはマンバと呼ばれる塩味のピーナツバターが塗ってあるのが定番です。
・パテフイ
具を小麦粉の生地で包んで揚げた物です。
具にもバリエーションがあってチキンを茹でて割いたものやゆで卵、細かく 切ったホットドックなどと共にピクリーズが入っています。
夕食の定番と軽食
・フリタイ
フリタイとは揚げ物の事で露店などで売られています。おかずとして食べる肉類や魚とサツマイモ、ポテト、バナナなどを揚げてあり欲しい物を注文すると、揚げなおして手の平ほどの大きさの紙袋にピクリーズと一緒に入れてくれます。
・アクア(アカラ)
里芋をすり下ろして、モリュと呼ばれるタラの燻製を潰して入れ味付けし、素揚げします。
ハイチの代表的なスープ
・ブーヨン(団子汁)
肉を煮込んで出汁を取りバナナ、ヤム、にんじん、団子、ほうれんそうを入れたスープです。
※栄養のバランスが良いので体調が悪い時など好んで食べられます
・スープジョモ(かぼちゃスープ)
元旦に食べるスープです。肉を煮込んで出汁を取り、茹でて裏ごししたかぼちゃとマランガ(さといも)、ナヴェ(かぶ)、バナナ、バーミセリ、ほうれんそうを入れて煮込んだスープです。
特徴的な飲み物
ハイチ産の飲み物の代表はコーヒーやショコラ(ココア)ですがその他ハイチで生産される物を原材料とした特徴的な飲み物があります。
・マルタH(マルタアシュ)
麦やホップが入っていて黒くて甘い炭酸飲料です。ノンアルコールの黒ビールを甘くした様な飲み物です。疲労回復効果があると聞いています。(中南米やアフリカで飲まれていて各国独自のマルタがあります)
・AK100(アカサン)
トウモロコシの粉を発酵させたものが原料でシナモン、ミルク、砂糖が入っています。とろっとしていて酸味があります。パワーが出ると聞いています。
アルコール
ハイチ名物のお酒と言えばラム酒ですが
ミルクを使ったクレマスというお酒もよく飲まれています。お正月に飲まれるお酒で白くとろっとして甘く、おちょこみたいな小さいグラスで飲みます。
アルコール度数は5%から50%で飲む人の好みによって選べるようになっています。
カカオ
カカオを原料としたお酒です。甘くカカオの風味がして水割りやソーダで割って飲みます。
ハイチのお菓子
・ペンパタッ(サツマイモのパン)
パンというよりケーキに近いです。茹でたサツマイモを潰してミルクやしょうが、シナモン、小麦粉、バター、さとうと混ぜオーブンで焼いたお菓子です。
・タブレット
ピーナッツやカシューナッツ、ごま、ココナツフレークをそれぞれ砂糖で固めたお菓子です。
・マコス
板状のミルクキャラメルです。切り分けながら食べます。
・カサブ
マニヨック(キャッサバ)をすり下ろして固め、薄く伸ばして焼いたお菓子です。口に入れると少しごわごわします。
1重でプレーンの物や重ねて間に甘く煮詰めたココナツを入れて焼いている物もあります。マンバ(ピーナツバター)を塗って食べます。
・パピタ
バナナを縦にスライスし揚げたチップスです。
ハイチ食文化のまとめ
ハイチの料理から食文化を感じて頂けたでしょうか?
ハイチの食べ物は常夏の気候、風土の中でハイチ人が病気にならずに元気に生活出来るように殺菌力のある食材や油や塩、砂糖が多めでカロリーが高い食べ物が多いです。
ハイチで生活する場合、日本人が毎日同じ内容の物を食べ続ければ少し胃をこわしてしまうかも知れません。適度にあっさりとした食事を取り入れながらハイチの食生活を楽しんで下さい。