ドイツでフリーランスビザを取得し、生活するともやさん。
ともやさんにドイツでの仕事、生活についてお聞きしました。
なぜドイツに渡ったのか?
ドイツでやっていることは?
今ドイツに来て12か月目になります。
ほぼ1年になろうかというところです。
仕事はコンピューターのエンジニア、人工知能を作ってお客様にお渡しするというかたちの仕事をしています。
日本にいたときからずっとこの仕事をしていたので、やっていることが大きく変わったというわけではありません。
ドイツ生活のきっかけ
東京で5年ほど会社勤めをしていたんですが、私はもともと奈良の田舎出身で、東京のような大都会は肌に合わないなと思うことがあったんです。
人の多さが疲れてしまって。
5年くらい働くと、なんだか疲れたなと思うようになりまして、日本の別の場所に行ってみるのもいいと思ったんです。
が、なんだかヨーロッパがいいかなと思い直しました。
東京にいるときからヨーロッパ人の友人が多かったので、ヨーロッパ人はこういう方だって感覚を知っていて、親しみやすいなと思っていたんです。
それに、日本の仕事環境で揉めることもありまして、そのことに疲れてしまったんです。
有り体に言うと、人間関係に疲れたというところでしょうか。
その時疑問に思ったのが、日本社会はまだまだ同調圧力が強いなというところだったんですね。
ヨーロッパはこうあるべきということが存在しないと思ったので、ヨーロッパに行こうと思いました。
正直言ってヨーロッパだったらどこでも良かったんです。
ワーキングホリデービザ。ドイツは実は簡単
ドイツのワーキングホリデービザって、日本人向けなら簡単に取れるんです。
貯金さえあれば、大体の方が簡単に発行してもらえます。
イギリスやフランスは枠が決まっていて狭き門なんですが、ドイツは2019年においては定員割れしている状況。
なので、応募してはねられるというケースは聞いたことがないです。
書類が全て揃っていれば通るはずです。
会社はワーキングホリデーを申請する前に辞めてしまいました。
とりあえずどこかに行ってやるぞという感じでしたね。
充電期間と思えばという感じでした。
会社を辞めた時には先のイメージは何もなかったです。
ドイツでリモートワークの仕事
基本的にはエンジニアの仕事をしているので、偶然にも日本の会社からリモートワークでもいいよという仕事を取ることができたんです。
それならドイツで働くこともできるなと思ったので、ドイツでリモートワークをしながらフリーランスで働いています。
取引は日本の会社としています。
昔、研究職をやっていた時の知り合い関係からの仕事です。
滞在一年で感じたこと
出発するときに思っていた、ヨーロッパ社会のオープンさは正しかったと思っています。
私の生活の中にもいろんなバックグラウンドを持った方がいるんですよね。
人種と言った方がいいのかな。
人種が違えば考えていることも言葉も違うじゃないですか。
そういうのが違っても問題ないというのが社会的に普通になっているんですよね。
極端な話、私が毎日生活している環境ではトルコ語とかアラビア語とかが普通に聞こえてきますけど、それが普通という感じですね。
レストランに行けば、そういう人たちはいますし、朝の2時間くらい語学学校に通っているので、ドイツ人でない外国人の方がたくさんいます。
アラビア語圏やスペイン語圏の人も多い印象です。
フリーランスビザについて
ドイツのフリーランスビザとは
ドイツの社会の中で、会社に所属せずにお金を稼いでいる人がもらえるビザです。
これは取得するのが結構大変でしたね。
ビザ取得経験談、TIPS
これは、私の経験談がどれだけ参考になるかはわからないんですが…。
ドイツのビザの権限って州ごとに違って、外国人局の担当者によって全部違うんです。
なので、私の場合はこうだったと思っていただければ。
インターネットで他にフリーランスビザを取った方を調べていたら、ベルリンで取得したケースばっかりなんです。
フランクフルトで取得したよという話を全然聞かなくて、自分で外国人局にコンタクトを取ってみたんです。
これが担当者と全く話が噛み合いませんでした。
外国人局の担当者が要求してくる書類が日本の制度で存在していないものだったりして、それを説明しても、「そんなことはない」と言われてしまって。
基本的にドイツ語でやり取りをしているんですが、私のドイツ語も乏しいので、そこでも理解がうまくいかなかったりしまして。
そこで、自分でやるのを諦めて、日本人向けにビザの取得をサポートしている会社にお願いすることにしました。
その会社に仲介料を払ってサポートをお願いして、外国人局への書類の手配を手伝ってもらったり、税理士さんを見つけて収入証明をしてもらったりしました。
自分でやるのは無理でしたね。
ドイツ語で税理士さんとやり取りするは大変ですよ。
結局、仲介業者の方に用意する書類を説明してもらって、外国人局へも仲介会社の方が来てくれて、ビザをくれたという感じです。
仲介会社の方は欠かせない存在だったと感じますね。
最初、ベルリンの事例ばかり見ていたんです。
ベルリンの事例だと日本人でもひとりでできたよっていう人もちらほら見られたので、それを鵜呑みにして僕も大丈夫だろうと思っていたんですが、間違いでしたね。
ベルリンはある程度英語でも担当してくれるって聞いたので、そういうところもハードルが違ったりするんじゃないでしょうか。
僕が利用したサポート会社はフランクフルトにあり、フランクフルトに来る日本人をサポートしてくれる会社ですね。
他の街のサポートの方を連れて行っても、噛み合わないかもしれません。
フリーランスビザを取る方は、初めからベルリンに行ったほうがいいかもしれませんね(笑)。
◆日本人のフリーランスの人々
ブログを見ている限りだと、翻訳者をなさっている方とか、ブロガーで稼いでいる方、アーティストの方が多いですね。
そういった仕事の方はフリーランスビザがおススメかもしれません。
◆フリーランスビザの滞在条件
これも州によって違い、バラバラなんですけど、私は1年もらえました。
ベルリンでも最初は1年間もらえると聞いています。
そのあと、更新していくか決める形になるそうです。
◆フリーランスの収入条件について
少なくともフランクフルトにおいては、必ずしもドイツ国内で収入を得なくてもいいです。
ベルリンの事例だと、ドイツ人のクライアントが1人いなくてはダメと聞いていますね。
州によっては制限事項があるかもしれません。
フランクフルトは自分で生活できる収入があれば大丈夫ということでしたね。
自分の状況でフリーランスビザを得られる州を調べておくといいかもしれません。
AIエンジニアの仕事
AIエンジニアとはどんなことをするのか
わかりやすいところで言うと、プログラムを作るのが基本的な仕事です。
ニュースでご覧になっている方もいるかもしれませんが、AIの新技術は毎年たくさん出てきているんですね。
新しい技術をすぐに企業が使うのはすごくハードルが高いんですよ。
プログラムを組んだりとかシステム設計を合わせたりとか、コストを計算しなくてはいけなかったりとか。
その中でも私はシステム設定とプログラムを書く仕事をしています。
企業と新技術のギャップを埋めていますね。
現状は引っ張りだこなので、うまい思いをしているところはありますね。
ドイツでも機会があったらやってみたいです。
ヨーロッパと日本のAI事情の違い
ヨーロッパと日本のAI事情は大きく違いますね。
日本の方がまだ無法状態ですね。
技術というより、社会がどうAI技術を見ているかというところなんですけれども。
日本はまだAI技術をどんどんやったれという感じで、ちょっと目的を見失っているというのが私の所感です。
ヨーロッパは、AI技術をどんどん社会に投入していくにあたっての問題をクリアしていくのが上手ですね。
例えば個人情報やデータ保護の問題ですけれど、そこをきちんとクリアするための法律や導入方法を決めていくといったことがすごく上手だと感じています。
今のところヨーロッパ全体でそれは守られています。
ヨーロッパ社会が積み重ねてきた姿勢なのかもしれません。
いろんな人種が住んでいることもあり、戦争などの歴史が積み重なっているので、うまく融合していくのはどうしたらいいのかということが共通認識としてあるのかもしれませんね。
日本とドイツの価値観の違い
フランクフルト生活~ドイツ人と同居~
ドイツ社会でシェアハウス…ドイツではWGと書いて、「ウェーゲー」と呼ぶんですが…これがドイツ社会では普通なんですよね。
日本でも最近流行ってきていますけど、それよりももっと一般的です。
ドイツでは学生や収入が少ない人はWGに住むというのが普通の考えだったりします。
WGを探す専門のサイトがインターネットであるんですよ。
「WG-Gesucht」っていう名前です。
ドイツ語でシェアハウス探すよって意味のホームページタイトルなんですけど。
そこで探してあたりをつけていく感じですね。
賃貸暮らしはある程度収入が固まってきた人が考えるという感じですね。
大きな街は賃貸を探すのが大変ですね。
私が聞いているのはベルリンとミュンヘンンとフランクフルト。この3つは外国人が借りるのはすごく大変みたいです。
そういった事情で、自分で賃貸を借りるのは面倒だと思ってしまったのもありますね。
シェアハウスの家賃と探し方のポイント
私が住んでいるところは月に750ユーロなので日本円にして8万ちょっとですかね。
ですが、フランクフルトの中でもちょっと高めですね。
これは豆知識なんですが、大都市で費用が安いシェアハウスは応募率が高くて、なかなか見つけるのも入るのも大変なんですよ。
なので、少し値段層をあげると極端に応募率が下がって見つけやすいというのがあります。
そういうところは探すのに苦労しませんね。
ドイツ人との過ごし方
次に大きいのは交際費だと思います。
食事に行ったり映画に行ったり、他の街にいる友人を訪ねて電車に乗ったりするので、そこにお金がかかっていると思います。
最近、車の免許をドイツに書き換えまして。
よく車を借りているので、そこにもお金がかかっていますね。
ドイツ人との暮らしですごく違いを感じるのはこだわりが強いところですね。
一方で、私との違いがあってもそこは問題ではないという。
違いがあっても仕方がないからうまくやっていこうねという感覚がドイツ人にはあります。
同居人は特に料理にこだわりがあるので、僕も彼の価値観として尊重して、うまく生活をしているつもりです。
特に取り決めはありませんね。
一緒に料理して一緒に食べています。
フランクフルト生活の魅力
一番素晴らしいと思っているのは、日本人的なしがらみを感じなくていいということですね。
私の生活環境で日本人に会うことが少ないので、日本人ってこうだよねと感じなくていいのがいいです。過ごしやすいですね。
あとは、フランクフルトやベルリンのような大都市はそうだと思うんですが、外国人が多いので外国人だから意識するというのが全くなくていいですね。
ドイツ人が常識的に考えていることをある程度無視してもいいというか。
全部無視して無礼にふるまっていいという意味ではなくて、ドイツ人のしがらみというのでしょうか。
常識的にあるものを、「僕たち外国人だから」というのである程度無視していいということがあったりします。
街としては、建物の雰囲気が日本と違うというのがよく聞く感想ですね。
でも、フランクフルトは残念ながら「これがフランクフルト」というものがないんです。
これはフランクフルト出身のドイツ人も同じことを言っていたのでそうだと思うんですが。
フランクフルトはワーキングホリデーで来る方はあまり向いていないような気がしますね。
フランクフルトって国際的な金融都市で、保険会社や金融機関が集まっている、金融的に重要な都市なんですが、そういった事情で、集まってくる仕事の方も保険や金融関係の方が多いんです。
そういった仕事が好きな方はいいと思うんですけど、ワーキングホリデーに来る方は違うので、もうちょっと楽しい街に行ってもいいのかなと思います。
ドイツでの今後のプラン
今年やってみたいと思っているのは、ドイツ語の検定資格、日本で言う英検みたいなものですけど、それを取得したいと思っています。
ドイツって資格社会・書類社会なので、ある程度話せなくても資格さえ取れば通じるというのはありますね。
自己満足のためでもあったりします。
今後は、ビザを延長して少し長く居ようと思っています。
具体的な目標があるわけではなくて、私が最初に疑問に思っていたヨーロッパ社会の人づき合いの仕方っていうのをもう少し学んでみたいなっていう欲求があります。
それをするにはもう少し時間がかかるかなと思います。
ビザが切れたら日本に帰るかもしれませんけど。
海外に住むにあたって、特にヨーロッパはお金の面よりビザの面の方が大変かもしれません。
現地は英語が通じないという前提で、ドイツ語学習を
ドイツ社会では思っていたほど英語は通じないです。
ドイツ語をしっかりと話せるようになるべきですね。
英語でも最低限の生活はしていけると思います。
スーパーに買い物に行って、買って…くらいはできますけど、友達付き合いをしていこうというのは無理ですね。ドイツ語は必須です。
僕は勝手な思い込みでドイツ人の8割くらいは英語を話せると思っていたんですが、全然そんなことなかったです。
ドイツ社会でやっていこうと思ったらドイツ語がないとやっていけないですね。
来る前にドイツ語をマスターしなくてはいけないというわけではないので、来てから語学学校に入って勉強するのもありなのかなと思います。
これから移住を考える方に向けてのメッセージ
~ドイツで暮らしてみたい方、フリーランスとして挑戦してみたい方、日本の社会の中で苦しんでいる方へ~
ヨーロッパ社会というのは、他人とうまくやっていくということを感覚的に持っている社会なので、そういうことをやってみたい方にはいいかもしれません。
または、英語圏でない所に行ってみたい方、英語圏でなくても日本とそう変わらない環境でやっていきたいなっていう方にはドイツはぴったり合っているんじゃないかと思います。