ここでは、ドイツ人の性格や特徴についてご紹介したいと思います。
これからドイツに留学や移住を考えている方などに、心構えとして「こういう人も結構いる」ということを知っておくことで、悩まずに人付き合いできるような、そんな情報となれば幸いです。
※「ドイツ人」といっても年代や性別によっても様々ですし、職業や育った環境もさまざま。そんなスタンスで、ぜひ気楽な気持ちでお読みくださればと思います。
ドイツとドイツ人
ドイツ人を知る前に、ドイツのことはどのくらいご存知でしょうか。
例えば、私たち日本人も、北海道から沖縄まで方言もあれば性格に差があるように、ドイツも年代や出身地によって性格や特徴がかなり異なります。
また、歴史的に東西に分かれていた時期がありますので、当時の東ドイツ出身者と西ドイツ出身者でも違いがあるように感じます。
そうした個人差だけではない、歴史的背景も踏まえた上で「ドイツ人ってどんな人が多いのか」ということを見ていく必要があります。
ドイツの国土はとても広いと思っている方もいらっしゃると思いますが、実は国土面積だけをみると日本よりほんの少しだけ小さいのです。(意外と知られていないかもしれませんね。)
国土面積ランキングでは、61位の日本に続いてドイツは62位。日本の0.95倍だそうです。
ドイツが意外に小さいというよりは、日本って意外と大きいのだということに気づかされますね。
他の国も詳しく知りたい方は、一般財団法人国土技術研究センターHPで調べることができます。
ベルリンで出会うドイツ人
ドイツの首都・ベルリンには多くの外国人が集まっている国際的な場所というイメージがあると思いますが、日本でいう東京と同じ。
首都であり、地方から多くの人が集まっています。
ベルリン出身のベルリン育ち、仕事もベルリンでしていて…という生粋のベルリナーに出会うことは案外少ないのです。
生粋のベルリナーも自己紹介で「私はベルリン生まれのベルリン育ち、本物のベルリナーだけど他に会ったことある?」とネタにする人もいるくらいです。
年代でいうと40〜50歳より若い方たちは地方出身でもあまり変わりがないように感じます。
日本同様、ネットが普及していますので買えないものはないですし、考え方や生活スタイルもどこも差がなくなっているからでしょうか。
50歳以上の年齢の方ですと、やはり出身地ごとに特徴があるように感じます。
日本人が持つドイツ人のイメージ像はちょっと古い!?
日本では
「ドイツ人は真面目」
「時間をきっちり守る」
「日本人に気質が似ている」
などの噂がありますよね。
しかし、ドイツはいつからそういうイメージがあるのでしょうか。
実際には40〜50歳より若い世代、特に20〜30歳の方々はこのイメージとはかけ離れているように感じます。
ドイツ現地に住む日本人数人に意見を聞いてみましたが、意見が一致したのは「日本人が持っているドイツ人イメージは古すぎるのではないか?」ということ。
ベルリンに至っては、壁の崩壊から現在まで猛スピードで街も人も変化してきました。
もちろん名残はありますが、いつまでも凝り固まったドイツ人のイメージを持ち続けることは、ドイツ人にとっても移住を考えている人にとっても良い結果は生まないと思います。
イメージ通り?のドイツ人とは
50歳以上の、特に男性ドイツ人は、割と日本人のイメージに近いものがあります。
意志が強く、時間やお金に関してきっちりしている反面、思い込んだら間違っていてもなかなか認めない部分も。
きっとドイツの企業に就職をしたら、上司に一人や二人はそういう方がいることでしょう。
そういう方にはこちらの意見を正面からぶつけても上手くいかないこともしばしばあります。
しかし、是非心を折らないでください!
相手の意見をとりあえず最後まで聞いた後で「私はそうは思わない、なぜなら〜」と自分の意見をいえば大丈夫です。
ドイツ人は自分の意見をしっかり持っていますし、誰かがAと言ったから自分もA、という意見の変更はあまりしないように感じます。
長いものに巻かれがちな日本人としては、あまりにもはっきり意見を言われることに慣れていないため、淡々と自分の意見を語られてしまうとちょっと怖いと感じたり、頑固だなぁと思ってしまったり、なんとなく雰囲気で押し切られてしまうことも。
だからと言って、毎回押し切られていたのでは、自分が「意見のない人」だと思われてしまいます。
まずは受け入れた上で、相手を否定するのではなく、相手の「意見」を否定することは失礼ではありません。
倹約家って本当?
ドイツ人はお金にシビアだとか(あえて言い方を悪くすると、ケチな人が多いだとか)デートは割り勘だという話は聞いたことがあるのではないでしょうか。
そういった方が多いことは確かです。
ですが、これはお金だけではなく、仕事や生活面での考え方全てに通じているものがあると思います。
例えば、レストランで注文する際に基本的に料理はシェアするものではなく一人一品です。
最近はシェアする人も増えて来ていますし、受け入れてくれるレストランも多いですが、お客さんの人数に対してあまりにも注文が少ない場合はレストラン側から嫌な顔をされることもあります。
付き合っていても、夫婦であっても、自分は自分という考えが主流なのでしょう。
つまり、日本人女性が思い込みがちな「デート代は彼が支払ってくれるもの」という考えは、そもそもドイツでは通用しない考え方なのです。
時間に関する考え方
待ち合わせの15分遅刻はOK
ドイツ人の30代の若い友人と約束をした場合、10分や15分の遅刻は遅刻になりません。
もちろん、仕事には遅刻しないで行っているそうですが…。
日本人、しかも社会人経験のある筆者は、待ち合わせには5分前に到着するべきという考えがあったのですが、ドイツに移り住んで数年ですっかり崩壊しました。
10分遅れた友人に「遅刻だよ」と言ったら、やっぱり日本人は厳しいね〜と言われてしまいました。
ドイツ人から見ても日本人は時間にきっちりしているというイメージがあるようです。
ある30代のドイツ人男性から一つ面白い話を聞きました。
「ベルリンは特に外国人が多く住む街で、学校にも職場にも外国人がいる。イタリア人やスペイン人は時間をほとんど守らないので、彼らの時間に合わせることにしたらストレスが減ったよ。」
なるほど。こうしてドイツ人も多様化していくのですね。
ドイツ人の若い世代はおおらかな方が多いのでしょうか。
電車も遅刻する
時間に関しては電車の遅延でも同じことがあります。
電光掲示板に次の電車が5分後に来ますと書かれているのを鵜呑みにしていると、いつの間にかその電車がキャンセルになっていることもありますし、あまり時間にきっちりしたイメージはありません。
とはいえ、アメリカから遊びに来た人が、電光掲示板にあと何分で電車が来るか書かれているなんてドイツはなんて素晴らしい国!と感激している姿を見ていると、世界的に見れば時間にきっちりしていると言えるのだと思います。
日本の電車は時間にあまりにも正確ですので、その感覚でドイツへ来るとストレスに感じてしまうかもしれませんね。
仕事の終了時間はきっちり!
しかしドイツ人は、仕事の終了時間だけはきっちりしています。
シフト制で仕事をしていたら、レジに行列ができていても帰りますし、市役所の予約は10:48など細かい時間で予約されます。(市役所の予約時間はずれることもしばしばあるのですが、予約の時間設定は細かいのです)
西ドイツと東ドイツ
ドイツは東西に分かれていた歴史があり、西はアメリカ、イギリス、フランス領でしたし東は旧ソ連領でした。
東ドイツ出身者は旧共産主義国だったため、考え方が保守的な方が多いように感じます。
仕事を一生懸命すること
お金を稼ぐこと
が重要で、それが家族の幸せであるという考えを持つ方や熱心に宗教を信仰する方に出会うと、東ドイツ出身者であることが多いです。
現在ではドイツ人の多くは英語が話せますが、50代以上の方ですと英語が話せない方も結構いることに気づきました。
東ドイツ出身、在住のご家族に取材したのですが、東西が分かれていた当時、学校で習う外国語はロシア語のみだったそうです。
それが東西統一後には英語やフランス語の授業が始まったと。
確かに、そのご家族でもご両親は英語が全くできなかったのですが、30代の息子さんは東西統一後の教育を受けられていたとのことで英語が話せました。
ドイツ人は日本好き?
数年前の日本食ブームでベルリンにもたくさんの日本食屋、寿司屋、ラーメン屋ができました。
それぞれ、繁盛しているように見えます。
日本食がブームになったのは、世界的にそういわれているようですが、「ヘルシー」で「健康的」だからだそうです。
しかし、ドイツ人はもともと日本食を好きな方が多いようです。
ドイツでも、日本のアニメがテレビ放送されていたり、本屋さんではドイツ語翻訳された日本の漫画がずらりと並んでいます。
また、インターネットで手軽に情報が手に入るようになったことで、日本について興味を持ってくれる方も増えているように感じます。
日本人だというと、一度は行ってみたい、と言ってくれる方も少なくありません。
笑いのツボが違いすぎる!
ドイツ人の友達ができたら、まず一緒に映画を見に行ってみてください。
笑いのツボが全く違うことに驚かされます。
ベルリンでは毎年2月にベルリン国際映画祭が開催されており、日本映画も数多く出展されています。
そこで毎年驚くのが、かなりシビアな殺人事件などの場面で笑いが起きたりすること。
日本人の感覚としては、固唾を飲んで次のシーンを見守る場面なのですが、多くのドイツ人はクスクスと笑うのです。
後になって聞いてみると、「殺人事件の現場でも日本人は靴を脱ぐんだね」とか、日本の家屋の梁が低いことから「人を殺したシビアなシーンの後に屈んで扉をくぐって部屋を出て行ったのが面白かった」とか、日本人の感覚ではわからない面白みがあるとのこと。
文化の違いをよく感じられます。
勘違いしないでいただきたいのは、彼らは決して日本人を笑っているわけでも、日本映画を馬鹿にしているわけでもないということ!
ただ、そういう状況が自分たちには想像がつかないために笑ってしまうだけなのです。
ドイツ人は紳士的でスマート!
ドイツで電車に乗っていると、お年寄りや妊婦さんが乗ってきたら若い方は席をすぐ立ちますし、重たいスーツケースやベビーカーを押した人がいると階段では手を貸してくれます。
バスや電車でもベビーカーや車椅子が乗ってきたらスペースを空けてあげますし、乗り降りに手を貸してくれます。
席をゆずることや、困っている人がいたら手を貸すということは、日本でも当たり前に教育されていますが、なかなかスマートに実行できない人も多いのではないでしょうか。
周りの人がそういったことを当たり前にやっているのを見ていると自分もそうしようと思いますし、とても紳士的です。
こういうところはドイツ人のとても素敵なところだと思います。
最後に
ドイツ人とはいえ、もちろん人それぞれですので、優しい人もいれば冷たい人もいるでしょう。
日本人よりも背が高く体格の良い人々は、時には威圧的に感じることもあるかもしれません。
しかし、彼らの背景にある東西分裂の歴史や、個々の主義・主張を尊重し合う性格を理解した上でお付き合いすれば、悪意を持って接してくる人はわずかであるということに気づけるはずです。