キューバの文化と習慣

社会主義の国ときくと、どんなイメージを持つでしょうか。

歴史の教科書に出てくるだけではなく、実際にキューバは現在、社会主義の国です。

「社会主義」はキューバの文化を理解するうえで、最も大事なキーワードになります。

なんとなく社会主義の持つ暗いイメージと、陽気で明るいイメージ。

一見矛盾している面を持ち合わせるのが、キューバという国なのです。

すべての国にタブーや暗黙の了解が存在するように、キューバにももちろんあります。

1.挨拶

この国では、挨拶は非常に大切です。

コミュニケーションを非常に大切にするキューバでは、知り合いや友人に会った時に、”右頬を合わせて口でチュッと音を立てる”というふるまいが挨拶です。

親しい友人や久しぶりに会った家族には、これにハグが加わります。

男性同士は握手が一般的です。

しかし、時には男性同士でもハグしたり、頬を合わせたりすることもあります。

また、お店の店員さんに話しかけるときや、道を聞くとき。

「おはよう」や「こんにちは」と挨拶してから、「すみませんが」と要件を続けます。

乗り合いのタクシーなどでも、知らない人にでもキューバでは挨拶をするのが一般的です。

そして、乗り合わせた人は必ず返します。

これは日本にはない文化ですね。

挨拶を返さないと礼儀知らずだと思われたりもしますし、お店などでは無視されることもあります。

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2.レディーファースト

キューバは徹底したレディーファーストの国。

エレベーターに乗り込むとき、レストランに入るとき、待っている順番にかかわらず女性が先です。

これを知らずに、真っ先に乗り込む男性といつまでも乗り込まない女性は、周囲の人を混乱させます。

キューバでは、男女問わずレディーファーストを守りましょう。

特に、男性はまわりの人から叱られることもあるので、必ず守ることをおすすめします。

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3.順番

順番を守ること、これも非常に大事なことです。

キューバでは何にでも列があります。

買い物の列、バスの順番の列、病院にかかる順番、レストランに入る順番の列…。

そしてこれがやっかいなことに、日本のように一列に並んでいるわけではありません。

来る人来る人、「最後の人は誰ですか?」と大きな声でききます。

最後の人は手をあげるので、その人の後ろにあとから来た人がつくのがルールです。

そうやって「最後尾」を渡しながら、順番をつくっていきます。

それぞれが好きなところで順番を待っているので、自分の前の人をしっかり覚えておかないといけません。

うっかり見失うと、大変なことになるのでよくよく見ておきましょう。

知らずに横入り、なんていうことが喧嘩の原因になります。

なかなか気性の激しいキューバ人ですから、ヒートアップして警察沙汰なんてことにもなりかねません。

確かに何時間も待って、横入りされたら怒りたくもなりますよね。

くれぐれも順番には気をつけましょう。

4.宗教

他の社会主義国と同じように、キューバには国教はありません。

もともとスペインの植民地であった名残でカトリックを信仰している人はいますが、国民の10人にひとりくらいの割合です。

それよりもはるかに多くの人がサンテリアとよばれる宗教を信仰しています。

これは、アフリカから奴隷として連れてこられた人々が自分たちの信仰を守り続けるために作り出したものです。

スペインはカトリック以外を禁止していたため、彼らはカトリックの要素を自分たちの信仰に取り入れ、故郷の信仰を続けました。

例えば、愛の女神でオチュンは聖母マリアと混じりあっています。

ハバナの町を歩いていると、全身白い服を着た人が目に入ることでしょう。

この人たちは、サンテリアを信仰していて、宗教的な実践を行っている最中です。

彼らの頭に触ることはしてはいけません。

事故でぶつかってしまっても、トラブルのもとになりますので、気をつけましょう。

写真を撮られることを嫌がる人もいますので、一言断ることを忘れないでください。

5.政治

キューバはキューバ共産党によって統治されている社会主義国です。

16歳以上の国民に選挙権があり、人民権力全国会議と呼ばれる国会の議員を選挙で選びます。

人民権力全国会議のメンバーの中からさらに選ばれた31名の議員が国家評議会を構成し、この国家評議会が国の政策を決定するのです。

革命によってこのような政治体制になりましたが、いい面も悪い面も当然あります。

いい面としては、人種や性別による差別はほとんどなく、貧富の格差もあまりありません。

誰でも等しく教育を受けられ、識字率は世界トップレベルです。

また、等しく優れた医療サービスを受けることもできます。

悪い面では、キューバの経済は低迷したままです。

平均賃金や生活水準は低いままで、インフラも不安定。断水や停電も頻繁に起こります。

そして、個人の自由も制限されているのです。

例えば、公に体制批判をすることは禁止されており、批判すると逮捕や国外追放になることもあります。

そのため、コーヒーを飲みながらの世間話のつもりでも、キューバの現状についてキューバ人に聞くことを絶対にしてはいけません。

「本当はどう思っているのか知りたい」と思っても、相手の立場を悪くしてしまうことがあります。

日本とは違う国です。

その国にはその国の歴史があり、大事にしている価値観があります。

外国人であるとしても、公共の場で政治について発言をするのはマナー違反になるので、避けるようにしましょう。

6.配給

1959年の革命より前のアメリカに支配されていた時代は、キューバ人は飢えに苦しみ、食料不足が深刻でした。

そのため、革命以後はみんなが平等に食糧を受け取れる配給制になったのです。

今ではかなり自由に食糧を買うことができ、商売ができるようにもなりましたが、配給制は続いています。

配給所

配給される物

配給されるものはどの家庭でも必要なもの。

なので、ここからキューバの食文化も知ることができます。

現在は品目は減り、米、パン、豆、油、塩、砂糖、肉、卵、スパゲッティ、コーヒーなどです。

無料ではありませんが、とても安い値段で買うことができます。

主食は米。

日本と違うのは、炊くときに塩と油を入れて炊きます。

ここに、黒豆を煮た「ポターへ」と呼ばれるスープのようなものをかけ、ローストした鶏肉と少しの野菜を添えるのが一般的です。

クリスマスや年末、家族の誕生日には豚を食べることもありますが、高価なので鶏を毎日食します。

牛はぜいたく品で、キューバ人の食卓に出回ることはほとんどありません。

日本と同じ島国ですが、魚もほとんど食べることはないのです。

ロブスターを養殖していますが、残念ながら観光客と輸出のために行われています。

朝食はパンです。

パンにバターやチーズハム、グアバのジャムをはさんで食べます。

家で食べる人もいれば、仕事場の近くのカフェテリアで食べる人もいて、場所はそれぞれのライフスタイルに合わせて、といったところでしょうか。

それでもかかせないのが、コーヒーです。

日本とは違い、キューバで飲まれるのはエスプレッソ。

食事の最後には、砂糖入りのエスプレッソを一口くらいのカップで飲むのが一般的です。

配給にもコーヒーがあり、町中いたるところでコーヒーを売っている現状から、キューバ人にとってのコーヒーの大事さがうかがえます。

まとめ

いかがでしたか。

日本とはかなり常識の違う国、キューバ。

多少のタブーはあるものの、基本は陽気な人々です。

話しかけて、話しかけられて、コミュニケーションをとることがこの国で過ごすために一番大事なことかもしれません。

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