こんにちは。
海外在住者インタビュー企画、第二回をお届けしたいと思います。
第二回は、シンガポールに移住ストーリー・ココさんです。
インタビューを通じて印象的だったことは、
グローバルな意識・感覚を子供だけでなく、親子一緒に学び、成長できる身近な場がシンガポールにある。
ということでした。
その理由は、いったいどういうことなのでしょうか?
インタビューをご覧ください。
シンガポールに10年、編集ライターとして活動
――現在のお住まいや生活について教えてください。
ココさん(以下、ココ):
はい、2006年から約10年間シンガポールに住んでいます。結婚してからはニュージーランド人の主人の仕事の関係で、オーストラリア、ブラジル、シンガポール、アメリカと、ずっと海外駐在生活を送っています。その中でもシンガポールの滞在期間が一番長いです。
――どんなお仕事をされてますか?
ココ:
私はシンガポールの日本語フリーマガジンで、編集ライターとして約9年働いております。
もともと日本では、大手出版社のファッション誌のライター及びスタイリストとして活動していました。結婚後海外に駐在してからもライター業は続けています。現在居住するシンガポールには約3万人の日本人が住んでいるため、いくつかの邦人誌が発刊されています。
コンパクトで安全。グローバルな教育を目的に移住する人も多いシンガポール
――シンガポールの魅力は?
ココ:シンガポールは、全島の大きさが東京23区ほどの大きさなので、日常における行動範囲が狭く移動がしやすい国です。全島端から端まで混んでいなければ車で30、40分の距離なんですよ。またシンガポールはタクシーが安いので気軽に利用できます。フットワークが軽くなり、活動的な人なら、1日でいろんなことができちゃいます!
また他国に比べてシンガポールはとても安全な国です。しかも伊勢丹、明治屋、紀伊国屋といった日系の会社が多く進出しているため、英語の環境が苦手な方々でもすぐ生活に馴染めますよ。
教育においても、日本の進学塾が多くありますので、海外にいながらも日本の教育がしっかり受けられる環境下です。 自分で事業をやっていらっしゃる方々が、子供にグローバルな教育を受けさせたいという願いから、家族でシンガポールに移住する方も多くいらっしゃいます。いきなりアメリカやイギリスなどの白人社会に飛び込むより、まずはアジアの大都市を拠点にする方が、日本人にはずっとハードルが低いのではないでしょうか。
10代の頃から縁があり渡ったシンガポール
――シンガポールに移転したきっかけは?
ココ:うちの主人が石油&ガス関係の仕事なので、その仕事によって駐在国が異なります。シンガポールもそんなうちの一つです。また私が10代の頃に親戚がシンガポールに駐在をしていた時期があり、夏休みを利用してこちらの語学学校に通っていたこともありました。その当初から地元の方々がフレンドリーで住みやすい国だなという印象が残っています
――シンガポールの生活でつまづいた点はなかったですか?
ココ: シンガポールは東南アジアの商業ハブであるため、いろんな国籍の方々が居住し、英語ができなくても生活に馴染みやすい国なので、つまづいたと言う経験は全くありません。
多くの国籍の人が集まり、友達になれる環境がある
――移住して、印象的だったことは?
ココ:まず、人とのネットワークが築きやすい国だと思います。先にも申し上げましたが、駐在者が多い国なので、ネイティブ並みの英語を話せなくても、話そうという意志さえあれば、それなりに通じてしまうし、受け入れてくれます。
例えばこれがアメリカの場合、日本人のアクセントで英語を話しても、現地の人は私たちの発音に慣れていないため、何を話しても発音を理解してくれないし、理解しようともしてくれない場合も多くあります。 それがシンガポールの場合、相手が欧米人だとしてもアジア人の発音に慣れているので、どんなたどたどしい英語でも温かく受け入れてくる。 そういった意味で、自分の国籍に対するコンプレックスだとか、英語に関するコンプレックスが緩和され、英語の壁、人種の壁がなくなり、多国籍の人とのコミュニケーションに自信がつきます。自分もグローバルな環境に生きていけるんだなって嬉しくなりますね。
シンガポール人はもともと外国人フレンドリーな国民だと思います。というのも、シンガポールという国は国に資源がないため、完全に海外とのビジネスが中心だからです。そのため外国人への受け皿がとっても広い。
またアジアの中で唯一公用語が「英語」なので、都市自体がまさにグローバル! 香港も似たような位置付けですが、公用語が広東語なので、やはりシンガポールよりは中国人社会よりかなと思います。
みんなが活力的になれるシンガポール
――移住して、苦労したことはありますか?
ココ:苦労・・・。わたし自身に“苦労”は、あんまりないんですけどね(笑)。でも、日本人が初めて海外駐在先としてシンガポールに赴任してきた場合、「害虫」に悩まされるケースは耳にします。トロピカルな国なのでゴキブリはもちろん、ヤモリが多いですよね。あとタクシーの中国訛りの英語がぜんぜん分からないと漏らす人もいます。
でも、苦労話よりは、こちらに来てから行動的になって、今までできなかったことにチャレンジできて楽しい!と言う前向きな奥さんの方が断然多いと思います。改めて英語に向き合って勉強する方をはじめ、スポーツ、ダンス、音楽、お茶など、子どもが学校に行っている間に活力的に行動なさっている方が多いです。これもコンンパクトに動ける国ならではのメリットですね。
――お子さんと一緒に、家族でシンガポールへ行って何かを体験したり、住んでみたいと思われる方っていらっしゃいますが、どのくらいの年齢でいくのが望ましいですか?例えば、長期で行く場合。
ココ:これは韓国人の例です。韓国では外国で最低2〜3年過ごした人のみ、政府から本国のインターナショナルスクールに入れる許可がおります。韓国人はグローバル教育への意識がとても高い国なので、お父さんは本国で働いていても、短期集中型で、母子揃って海外に留学するケースがとても多いんです。シンガポールのインターにもそういった韓国人生徒が多く、数年で徹底的に英語を身につけさせ、本国に帰っていきます。そういった面で、国自体が英語環境ではない日本で英語をだらだら勉強するより、一層期間限定でシンガポールに母子留学し、英語を集中的にやったほうが効率がいいと思います。
働くためには、学歴や良い履歴書があれば断然有利。だが、いろんな道や方法はある。
――これからシンガポールに行く方が事前に準備しておいたほうがよいことは?
ココ:最近20代独身の方でも、日本で就職活動をして、シンガポールの現地採用に成功される方々が増えてます。 またシンガポールへまずは語学留学をして、その後シンガポールの人材派遣会社経由で仕事を見つけそのままステイするとか。
いずれにせよ基本的にシンガポールは高学歴社会です。学歴、職歴が良いほど質の良い仕事に就きやすいでしょう。インターンシップで来星する場合でも、世界の大学ランキングトップ200以内の学校でないとビザを取得できる確率が低いです。(東大、京大、早稲田、慶応くらいまで)。うちの編集部員を見ても、学歴が良い子が多いですね。じゃないと、ビザがなかなか下りないですよね。
また「エスパ」といいまして、技術者ビザみたいなのがあります。
ヘアスタイリスト、ネイリストなどがそういう系ですね。職業経験があるほど就労ビザが取りやすいので、日本でもできるだけ経験を積んでいたほうがいいでしょう。
親子留学する場合、ガーディアンビザという選択肢がある
――現在、お持ちのビザは?
ココ:主人はEP(就労ビザ)、私たちはディペンデントパス(DP=扶養ビザ)を取得しています。DP保持者は働くことが可能で、働く場合は勤務先からLOC(LETTER OF CONSENT)と言う就労許可書を発行してもらいます。
もしシンガポールに来たいけれど、まだ英語力に自信がないという方は、まず語学学校に行かれることをお勧めします。その場合、STUDENT VISA(学生ビザ)を取得すれば勉強ができます。その後働きたい場合、現地採用されさえすれば、会社から就労ビザを発行してもらえます。
ちなみに親子で来る場合、子供はSTUDENT VIZA(学生ビザ)、子供が未成年の場合は、お母さんはガーディアンビザ(保護者ビザ)を取得することができます。
グローバルな視点で進むべき道を示してくれる親子への教育環境がある
――せかいじゅうでどんなことを提供していきたいですか?
ココ:まずは親子留学ですね。「グローバル化」ということは、今の子供達にとってキーポイントです。日本のインターに通って英語は話せたとしても、日本国内で暮らす限り日本人的な思考である環境下にいること自体は変わりません。たった1年でも海外に拠点を置いて生活すると、ずいぶんものの見方も変わってくるかと思います。子どもは英語をピックアップするスピードがぜんぜん違いますし、英語だけでなくて、国際的コミュニケーション能力も養うことができます。さらに親御さんも見解が広がり、オープンマインドになれるかと思います。
ある知人の話ですが、3人の子供達をシンガポールのインター校に行かせたい思いで、家族揃ってシンガポールに移住してきた人がいます。
彼らの子供達はアメリカで生まれたのでアメリカ国籍を持っているとのことなので、なぜアメリカではなくシンガポールなの?と尋ねたところ、やはり日本からいきなりアメリカを目指すのは、遠い、時差が大きい、生活も完全に欧米式なのでギャップが大きすぎると。
でもシンガポールは同じアジア圏で時差も1時間、日系企業も多く、暮らしやすいって。海外居住の第一歩としては馴染みやすい国だそうです。しかもここはグローバル教育が進んでいる国なので、欧米の大学などの情報も日本より入手しやすい環境、とのことでした。
私の子供は現在中学生と高校生です。これくらいの年齢でも、インター校は父母に向けて定期的にセミナーを行い、子供の教育についての情報を随時シェアしてくれます。また進路などどう決めていくべきかなどを、グローバルな視点で教えてくれます。
日本は中学、高校ともなる、目先の受験ばかりに目が行きがちで、中学、高校、大学を経て、その後に何が待ち受けるかなど長いスパンの話として、教育者から聞く機会はなかなかありません。基本的に大学って仕事を始める前の一つのステップですよね。就職するまでの訓練期間っていうかね。日本の受験と違い、海外の名門大学に受け入れてもらうためには、常に良い高校の成績を維持していくだけでなく、高校生の間、自分が何をしてきたか、どんな挑戦をしてきたかなどをプレゼンテーションして自分をアピールする必要があります。インター校では、勉強ももちろんですが、そういった経験値と、しっかりとした人間形成を作るためのプログラムがしっかり組み込まれていると感じます。
日本の受験ってある意味、点数さえよければいい、受かるわけですよね。結果難関大学を突破した子供達は、その後大手有名企業に勤める方も多いでしょう。実際シンガポールにはそういう高学歴な日本人ビジネスマンたちが多く駐在しています。でも、たまにそういった方々と外国人を交えて話す機会があるのですが、悲しいことに、彼らは英語は話せても、会話の内容が全然グローバルレベルではない。ウィットに富んでなく、面白くないんです。日本の企業から“グローバルな人間”と見込まれて海外に送られてきた方々が、実際外国人に混じって会話に入ると、とても保守的だし、話す内容はドメスティック(日本人的視野の話題)で、ユーモアもない。ビジネス交渉はできるのかもしれませんが、真のグローバルレベルの土壌に立ってないように映って、ちょっと残念です。
逆に、日本人でもグローバルレベルから見て立派な方もいらっしゃいます。話術、ファッション、そして自信があって、そういう方はカリスマ性があります。白人ビジネスマンの中にいても堂々として。たとえ発音がとってもジャパニーズアクセントでも。
まだ未来のあるお子さんを、そんなグローバルな世界で生き残れる人間に育てるためにも、一度は日本人の子供達も海外に出て、いろんな国籍の子供達に混じって勉強してみるのは貴重な体験だと思うのです。 個人的には中学生がいいと思いますね。一年間でもいい、今通う学校を休校して海外に出てみたら、すごく目先が変わるんじゃないかなって思うんです。
――若いときから、違う視点、違う価値観を感じることが大事ですよね。
ココ:そうですね。でも子どもだけではなくて、親も同様の環境で、同じ意識を持つことは、意味のあることだと思います 。生涯のうち一度は他の言語を話す人たちと触れ合ってみるのは、人生の貴重な体験でしょう。
それぞれの国ごとに、いろんな良さがあるとは思いますが、シンガポールでいえば、とっても保守的な日本人のお母さんでたとえ英語が苦手でも、馴染みやすい環境です。まあ悪い意味では日本人同士で固まっちゃうこともありますけど。そうだとしても、日本でしか暮らしたことのないママグループに交わるのとはずいぶん違うと思います。子どもを通じて、親御さん自身もグローバルな一歩を踏めるはずです。
シンガポールはそんな夢のような親子留学が意外に手軽にできてしまう、そんな国ですね!
シンガポール在住ココさんのプラン:https://sekai-ju.com/plan/sgp/singapore001/