人気のある移住先としてフランス・パリや東南アジアがあるようですが、日本の近場である中国も移住先の選択肢に入れてみませんか?
「中国に移住」と聞くと、中国の首都である北京や、華やかな上海をイメージする方が多いかもしれません。
イメージ通り、北京や上海には多くの日本人が住んでいます。
ただ「広州市が一番住みやすい」という声があるのです。
広州市について知ることで、移住先の選択肢を広げられるかもしれません。
今回は私が広州市に4年間住んだ経験も少し含めつつ、中国の移住先都市として広東省広州市をおすすめする7つの理由をご紹介します。
1.比較的温暖な気候
広州市を省都とする広東省は、中国大陸部分で最も南にある省です。
(ちなみに中国で一番南にある省は海南省という島で、有名なリゾート地です。)
気候は亜熱帯モンスーン気候で、年間の温度差が小さく、ほとんどの時期が日本人にとっての夏のように感じます。
実際広州市に住んでいた頃は3月から10月末まで平均気温は30℃を超えるため、夏服・半袖・薄着で過ごせていました。
暖かすぎて、冬が恋しくなるほど夏が長いです。
11月からだんだん涼しくなり、2月まで冬のシーズンに入りますが、冬でもめったに気温が0度に下がりません。
下がったとしても次の日には10度前後に戻ります。
そして2月の旧正月頃には、長袖もうっとおしいと思うほど暖かい日が続くことがあるのです。
湿度の関係で、乾燥した日本の冬よりも寒いと感じることがありますが、年間で見ると比較的気温差の少ない温暖な気候の中で過ごすことができます。
2.美味しい食事
海外生活で一番大事なのは食事です。
広州市は「食在広州」という言葉があるほど、料理に関しては有名な都市。
地元の人々は食に関しては厳しいようです。
北京や上海には他の地域の料理を提供するレストランが多いですが、広東人は食にプライドがあるのか、広州ではほとんど見かけません。
最近では、若い人のニーズに合わせて広州にも他の地域の料理店が増えてきたところですが、まだまだ少ないです。
食にこだわりがある分、広州での食事は小さいお店から立派なレストランまで、安い・うまい・豪華の3点を満たしています。
小さなお店で麺類を食べるのであれば、120円程度で食事を済ませるくらい安いです。
広州での食事は中国国内では「粤菜」(yuecai)と呼ばれる広東料理ですが、他地域で食べようとすると値段が一気にはね上がります。
それほど中国国内でも評判のいい料理です。
それならば広州に住んで、本場の広東料理を安価で食べた方がお得でしょう。
そもそも日本でイメージされる中華料理のほとんどは、広東料理なのです。
例えば、チャーシュー・エビチリ・酢豚などは広東料理に含まれます。
そして有名なのが「飲茶」(ヤムチャ)。
地元でヤムチャは、毎朝のように食する人がいるほど生活に欠かせない食事スタイルです。
広東料理は、他の地域の料理と比べて油が控えめで、素材の味を活かしたものが多くあります。
さらに米が主食であるため、米料理が豊富。
日本人の口に一番合う中華料理だと言われています。
3.物が豊富
広東省は香港に近いということで、海外企業から受注する工場が以前からたくさんあります。
その影響からか、小さい露店から一流ブランドまで物があふれ返っており、広州は買い物にはうってつけの場所です。
ニッチな物からブランドまで探そうと思えばいくらでも探せます。
特に小さいお店には掘り出し物が見つかることがあり、宝探しが好きな方の買い物にはおすすめできるでしょう。
日本で売っている500円程の器が、広州の露店では15円で売られていたりもします。
女性ならアクセサリーやかばん、韓国ファッションの店も増えているので買い物天国です。
現在広州市の中心部となっている天河区には、Victoria’s Secretなど日本から撤退してしまったブランドや日本未上陸のブランドもあります。
ブランド好きの方には狙い目です。
ウサギオンライン系統の日本ブランドも展開され、香港の若者に人気のショッピングモールK11も進出しているので、世界中のブランド商品に出会えます。
工場の納品テストの基準に満たなかったものが流れてきますが、素人から見るとそこまで不良品ではありません。
あまり気にしない方にとってはお得に購入できるものになるかと思います。
ただし、注意すべきなのはブランドの偽物も紛れていることです。
偽物を購入してしまうと法に触れてしまうので、その点では慎重に買い物をしましょう。
4.気が楽
東京や上海、北京といった大都会だと身だしなみに気を使うと思いますが、広州ではあまり外見を気にする人はいません。
基本、食事以外はあまり気にしないのが広東人流の生き方です。
広東人があまり身だしなみを気にしないのは、食事が一番大事というメンタルだけではなく、気候も原因の一つと考えられます。
夏が長ければ暑すぎて快適に過ごせる服を求めますし、化粧をしてもすぐ溶けるので、すっぴんのまま過ごす人が多いのです。
そういう環境であれば身だしなみに気を使う必要はないので気が楽になるでしょう。
おしゃれをそこまで気にしたくない方には特に良い場所です。
着たいものを着て、好きなようにするという生き方が一番似合う都市だと思います。
5.親日的
中国移住の高いハードルとして反日感情があげられます。
確かに広州でも日本軍占領の歴史がありますが、現在では若者を中心に親日家が多いと考えられています。
香港にも親日家が多いので、その影響も大きいのでしょう。
現地では、多くの若者が日本のアニメや文化に興味を持っています。
また親日的だと考えられるのは、日系スーパーのイオンやラーメン屋、居酒屋など多くの日本系列のお店が立ち並んでいるためです。
天河区周辺や日本大使館周辺にはよく探すと、日本系のパン屋や食事処が多く見受けられます。
実際に多くの日本人リピーターがいる本格的な隠れうどん屋など、発掘しがいのある日本食店まであるのです。
海外生活では日本をたびたび恋しく思うことがありますが、広州市で生活すると日本の物を見かける機会が多いので安心でしょう。
6.治安がいい
ヨーロッパやアメリカなどの地域ではスリや強盗の危険があり、夜中は一人で出歩けないことが多いようです。
広州の場合、夜中の女性のひとり歩きでも危険ではありません。
日本ほどではありませんが、海外の都市の中で治安がはるかに良いことは間違いないです。
気をつけるべきことは人ごみでのスリですが、地元の方でも防犯意識の低いかばんを使用しています。
ですからそこまで気を張る必要もないのです。
7.香港・マカオが近い
中国に住む外国人は、ビザの滞在期間に気を配らなければなりません。
外国籍の場合、ビザによっては年に何回か、中国国外に出る必要があります。
そのたびに日本や他の国にわざわざおもむくのが億劫だと思う方にも、広州市がおすすめできます。
なぜなら、鉄道に乗って2時間ほどで香港やマカオに出国できるからです。
香港・マカオは行政特別区として、パスポート的には「中国国外」にカウントされます。
広州市に住んでいる日本人を含めた外国人は、ビザの理由で中国国外に出る際には香港・マカオで滞在するケースがほとんどです。
香港とマカオであれば観光地が整備されており、広州とはまた違った雰囲気があるので旅行気分で滞在できます。
鉄道に乗り2時間で行けるのであれば、週末の日帰り旅行も可能です。
わざわざパスポートビザのために飛行機に乗りたくないという方に、香港やマカオ滞在の選択肢がある広州市への移住をおすすめします。
さいごに
広州が移住におすすめできる利点をまとめると以下のようになります。
- 気温差が穏やかで比較的温暖な気候の中過ごせる。
- 日本人の口に合う料理が豊富。
- ニッチな物からブランド品まで手に入り、物が豊富。
- 身だしなみに気を使う必要がない。
- 親日的な雰囲気で過ごしやすい。
- 海外の都市の中でも治安が良い。
- 香港・マカオが近いため出国しやすい(パスポートビザの理由で)。
今後広州市の郊外も開発区として発展するので、もっと住みやすい環境へと整ってくるでしょう。
移住を考える際の選択肢が少しでも広がれば幸いです。