移民大国であるカナダは、食のバラエティが豊富。
欧米や西洋料理はもちろんのこと、タイやベトナム、中華や韓国などのアジア系から、メキシカンにアフリカンなど、本格的な味を提供するレストランが数多くあります。
では、「カナダ料理」というとどんなものがあるのでしょうか。
ここでは、カナダの代表的な料理や日常的に食べられる主食、またカナダの食事情についてもご紹介していきます。
カナダ料理とは?
カナダといえば、メープルシロップやサーモンを思い浮かべる人が多いかもしれません。
確かにそれらはカナダを代表する食材ですが、「カナダ料理」と呼ばれるカナダ発祥のメニューもあるんです。
・Poutine(プーティン)
ケベック州発祥の料理で、フライドポテトに、グレイビーソースとチーズをかけたもの。
グレイビーソースとは、肉類をオーブンなどで焼いたときに出る肉汁に、ワインやブイヨンなどを加えて煮詰めて味を調えたソースのことを意味します。
プーティンに使われるチーズは、カードと呼ばれる凝固したチーズです。
フライドポテト×肉汁ソース×チーズという高カロリーな組み合わせですが、カナダでは感謝祭(サンクスギビングデー)などで食べられる代表的なメニューです。
・Nanaimo Bar(ナナイモバー)
Celebrating my Canadian-ness #nanaimobar #Canada150 #HappyCanadaDay pic.twitter.com/HdYqtaGons
— Carlee (@redeva007) 2017年7月2日
ブリティッシュコロンビア州のナナイモという街で生まれたスイーツ。
チョコレート、カスタードバタークリーム、ブラウニーのようなクッキー生地(ココナッツが入ることも)が層になったチョコレート菓子です。
元々は炭鉱で働く男性たちのために作られたお菓子と言われており、重労働にも耐えられる栄養源として、カロリーの高い組み合わせになっているそう。
非常に甘く、小さくカットされた量で十分な満足感が味わえます。濃いコーヒーとの相性は抜群です。
・Peameal bacon (ピーメールベーコン)
A4 Peameal bacon sandwich at the St. Lawrence Market in Toronto #foodtravelchat pic.twitter.com/qWIHfMTQUA
— #FoodTravelChat (@FoodTravelChat) 2018年7月12日
別名カナディアンベーコンとも呼ばれる、カナダの名産物ベーコン。
一般的なベーコンが脂肪分の多いバラ肉を指すのに対し、このピーメールベーコンは脂肪分の少ないロース肉を使用しています。
もう一つの特徴は、ベーコンのまわりに”コーンミール”という黄色い粉がまぶされていること。
これは、乾燥させたとうもろこしを挽いたものです。ベーコンにコーンミールをまぶすことで長期保存ができ、1800年代頃には他国への輸出が盛んだったようです。
ソテーで食べるのは勿論のこと、サンドイッチなどに挟んで食べるのも人気があります。
カナダで食べられる主食は?
では次に、カナダで日常的に食べられる主食には、どのようなものがあるかご紹介していきます。先ほどの代表的なカナダ料理は、どちらかというとイベント向きのメニューですので、今度は一般的な料理について見ていきましょう。
冒頭でも触れましたが、カナダは移民が多い国なので、「カナダ人」と言っても様々なルーツをもつ人々がいます。
イタリア系、ブラジル系、中華系…など、家庭ごとのバックグラウンドによって家庭料理も様々です。
そのため以下は一例となりますが、カナダで生まれ育った私の旦那にとっての家庭的なメニューということでご紹介します。
・マッシュドポテト
Happy #Thanksgiving #Canada… otherwise known as ‘Mashed Potato Day’ too! 😉 #EatUp #NoLeftovers pic.twitter.com/uCQ0XnWHfJ
— PEI Potatoes (@PEIPotatoes) 2016年10月10日
肉や魚の付け合わせに使いやすい、マッシュドポテト。
塩コショウやバターなどシンプルな味付けで仕上げるので、どんなメインにもよく合います。
・マカロニ&チーズ
茹でたマカロニにチーズソースを絡めた、グラタンのような料理。
現地では、”マックアンドチーズ”(Mac’n Cheese)の愛称で親しまれており、子供から大人まで人気の定番メニューです。
手軽に作れるインスタントもあり、最も有名なのが「Kraft Dinner(クラフトディナー)」という商品。乾燥したマカロニと粉末状のチーズソースがセットになっており、電子レンジでも調理が可能です。
家庭によっては、ソーセージや玉ねぎ、ツナ缶などを加えてアレンジすることも。
・シリアル・オートミール
こちらは家庭料理ではありませんが、朝食の定番といえばシリアル。
vegan oatmeal dis sunday pic.twitter.com/wTpf5p9Wvd
— gabe (@gabethestain) 2019年5月19日
日本でもシリアルは食べられますが、カナダのスーパーには非常に数多くのシリアルが取り揃えられています。
チョコやキャラメル味など子どもが好きそうな甘い(カラフルな)ものから、ノンシュガータイプ、食物繊維豊富なもの、プロテイン豊富なもの、など種類は様々です。
また”オートミール”と呼ばれるオーツ麦も定番です。
精白されていないので、食物繊維や鉄分などの栄養素を豊富にとることができます。水や牛乳で煮ておかゆのような状態で食べるのが一般的ですが、電子レンジで手軽に作れるインスタント商品もあります。そのままではほぼ味がないので、我が家ではバナナやナッツ、はちみつやレーズンなどを入れています。
カナダの食事情
最後に、筆者がカナダに暮らしていて感じる、食に関する日本との違いをいくつかご紹介します。
菜食主義者
カナダには様々なルーツを持つ人々がいますので、宗教上の理由から、牛肉や豚肉を食べない人がいます。
そしてそれと同時に、”菜食主義”の人々が非常に多くいます。
菜食主義といっても、細かな分類が様々ありますが、有名なのが以下2つのワードです。
・ベジタリアン(Vegetarian)
基本的に、肉類や魚介類など動物性食物をとらない人々のこと。
卵や乳製品、ハチミツに関しては、人によって異なります。
・ヴィーガン(Vegan)
肉類や魚介類はもちろん、卵や乳製品、ハチミツ、またそれらの成分が含まれる全ての食材をとらない完全菜食主義。
※なお人によってそれぞれのワードの定義は異なる他、”セミ・ベジタリアン”といって菜食趣向(動物性食物の完全排除ではなく、菜食を好む)といった形などもあります。
菜食主義である理由は人によりますが、以下のような理由が代表的です。
- 習慣や宗教的理由(生まれたときからヴィーガンの家庭など)
- 動物愛護の思想(動物を殺したり苦しめることを避けたい、という思想)
- 健康理由(肉食は体に良くないと考える人や、体質的に肉や乳製品が体に合わない人)etc…
菜食主義の人々が非常に多いカナダでは、ヴィーガン向け食材がどこのスーパーでも豊富に売られていたり、ヴィーガンレストランなども数多く存在しています。
食材へのこだわり
2017年度の日本の食糧自給率が38%だったのに対し、カナダは200%越え。
雄大な自然と広大な国土に恵まれたカナダは、まさに食材の宝庫といえます。
そのため食材へのこだわりが強く、ほとんどのスーパーでは「オーガニック食品コーナー」が設けられています。
野菜や果物などオーガニックのものは少し割高ですが、それでも日本で見かけるオーガニック食材よりははるかに安く、食材と健康に対するカナダ人の意識の高さが伺えます。
また近年では、”環境にやさしい食の在り方”という考え方も広まってきています。
その一例として、バンクーバーでは2005年に”オーシャン・ワイズ”というプログラムが始まりました。
オーシャン・ワイズ
「海洋環境を破壊することなく、海産物を食す」という考えの環境保全プログラム。
レストランを始め、消費者に対してSustainable(持続可能)な海産物を選択してもらい、「地球環境への配慮も、食を満たすことと同じように大切である」という認識を深めてもらうことを目的にしています。
具体的には、海底の生態系を破壊せず、長期的な保全を維持できる漁獲方法や養殖方法を採用している水産物に”オーシャンワイズ”のマークが与えられるというもの。
その食材を使用したレストランが、バンクーバーには増えてきています。
私自身はまだ街中でこのマークを見かけたことはありませんが、オーシャンワイズ食材を使ったレストランでは、このマークをメニューに載せているようです。
ぜひこれから外食をする際には、気を付けてみてみたいと思っています。またレストランに限らずスーパーなど消費者にとってより身近な場でも、このマークをもっと目にする機会が増えていくことを期待しています。
カナダの食事情まとめ
まだあまり知られていないカナダ発祥の料理や、カナダの主食、そして日本と異なる食事情についてご紹介をしました。
繰り返しになってしまいますが、カナダは移民国家なので、様々なルーツを持つ”カナダ人”がいます。
そのため一概に「カナダ人は〇〇をよく食べる」ということはできませんが、移民が多い国だからこそ、食の選択肢が豊富に広がっているというのがカナダの魅力の一つでもあります。
また将来の環境を見据えた「食」の在り方を追求する姿勢も、私自身とても応援したいプログラムの一つです。
カナダのみならず、こうした取り組みがこれから世界中で広がっていくことを期待します。