カナダの教育制度。独自の特徴や授業料などを詳しく解説

カナダの教育制度。特徴や教育費を徹底解説

世界中から多くの移民が集まる国、カナダ。

英語やフランス語学習のための留学先としても人気があります。

そんなカナダの教育制度は、州ごとによって異なります。

それぞれの州に教育省が設けられており、地域的な特色や文化などを反映した教育カリキュラムが組まれているのです。

今回はそんなカナダの教育制度について、詳しくまとめてみました。

カナダの義務教育期間と学年区分

日本では、小学校1年生(7歳)~中学校3年生(15歳)までの9年間が義務教育期間として定められています。

一方、カナダでは、多くの州で5歳または6歳~15歳まで、または7歳~16歳までの10年間を義務教育期間としています。州によっては17歳、または18歳まで(もしくは高校卒業まで)を義務教育とする地域もあります。

なおカナダでは、小学1年、中学1年、高校1年というような区切りはせず、小学校から高校までの12年間を「グレード1、グレード2…グレード12」という呼び方で通しで数えます。

各州ごとの義務教育期間は、以下の通りです。

<カナダ:州ごとの義務教育期間>
グレード(学年) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
■アルバータ
■ニューファンドランド&ラブラドール
■ノバスコシア
■ノースウェストテリトリーズ
■ヌナブト
E JHS SHS
■プリンスエドワードアイランド K E JHS SHS
■ブリティッシュコロンビア K E JHS SHS
■ユーコン E S
■オンタリオ
■マニトバ
E/P S
■サスカチュアン E M S
■ニューブランズウィック K E M S
■ケベック E S

K:Kindergarden
E/P:Elementary School / Primary School
JHS:Junior High School
SHS:Senior High School
M:Middle School
S:Secondary

日本では、小学校が6年間、中学校が3年間、高校が3年間という「6:3:3制」が全国で一貫されていますが、カナダでは学年区分も州によって異なっています。

また、以下の3州に関しては、Kindergarden(幼稚園)も義務教育期間と定められているのも特徴的です。

  • プリンスエドワードアイランド
  • ブリティッシュコロンビア
  • ニューブランズウィック
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カナダの授業料。公立学校は中学卒業まで無料

日本では、義務教育期間である小学校~中学校卒業までの9年間、公立学校の授業料は無料です。

カナダでも同様に公立校であれば無料で通うことができ、基本的にグレード12までの12年間がその対象となります。(カナダ国籍、カナダ永住権保持者が対象)

また公立校では、教科書が学校から無償で貸し出されることが一般的です。

使い終わった後は返却が原則のため、書き込みなどはせずに使うよう指導されます。

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授業科目

カナダの教育制度で特徴的なのは、

  1. 公用語が2つある
  2. 移民が多く、どちらの公用語も話せない子供たちが大勢いる

という点です。

それぞれの背景をふまえたカナダ独自の教育制度をご紹介します。

公用語は英語とフランス語

カナダでは、「英語」と「フランス語」の2つの言語を公用語としています。

国民の約70%は英語を第一言語としていますが、ケベック州を中心に、フランス語を第一言語とする人々もいます。

そのためカナダには「2言語プログラム」というものがあり、義務教育期間中、第二言語を習得するための授業が組み込まれています。

例えば英語圏のオンタリオ州では、グレード4からグレード8までの間(初等教育)、フランス語の授業が必須科目となっています。

中等教育からは生徒の主体性を重んじた「選択科目授業」が増えていきますが、グレード9からグレード12までの間に、フランス語の授業を一度は履修することが卒業条件として定められています。

なおフランス語を母国語とする人が約80%にも及ぶケベック州では、他の州とはかなり異なる独自の教育制度を定めています。

ケベック州には「フランス語憲章」という”州内での公用語をフランス語のみとする法律”があり、それに伴って幼稚園から中等教育まで一貫してフランス語での授業が行われます。

移民が多い国ならではのESL

カナダには、世界中から多くの移民が集まっています。

そのため、移住したばかりで英語もフランス語を話せない子供たちも少なくありません。

そこでカナダの学校には、英語を母国語としない子供たちのために、英語の特別授業を行うESL(English as a Second Language)クラスを設けている学校が多く存在します。

通常の授業に加え、英語学習の場を学校側が提供し、いち早く生活に馴染めるようにサポートをするシステムです。

カナダならではの活動と学習法

地域活動への参加義務

カナダでは教室での授業だけでなく、チャリティーイベントやボランティアなど、地域での活動へ参加することが義務付けられていることがあります。

例えばオンタリオ州では、グレード9からグレード12までの4年間で、こうした地域活動に40時間参加することが必須となっています。

家庭での学習「ホームスクール」

さまざまな事情から学校に通うことが出来ない子供たちのために、カナダでは義務教育を家庭ですることが認められています。

多くの家庭では親が勉強を教えますが、在宅教育のためのオンラインサービス会社なども数多く存在しています。

カナダにおいてこのホームスクールは決して珍しい選択肢ではなく、オンタリオ州では、ホームスクールをしている子どもたちが約2万~4万人いると言われています。

カナダで日本人学校に通うかたへの情報

駐在や移民などでカナダに引っ越した場合、「日本人学校(または補習校)」に通うという選択肢があります。

日本人学校とは、日本国内の学校教育同等の授業を受けられる、文部科学大臣認定の全日制の学校です。

一方の補習校は、現地の学校またはインターナショナルスクールに通いながら、放課後や土曜日を利用して、日本語などを勉強するための施設です。

まだ現地の生活リズムや英語に不慣れな子どもや、日本にいずれ帰国予定がある子どもたちが利用しています。

下記は、カナダにある日本人学校(補習校)の一覧です。

学校名 URL
アルバータ エドモントン補習校 https://sites.google.com/site/mejcs8/
カルガリー補習校 https://www.calgaryhoshuko.org/
ブリティッシュコロンビア サレー日本語学校 https://surreyjls.weebly.com/
バンクーバー日本語学校 https://vjls-jh.com/
ビクトリアヘリテッジ日本語学校 http://vicnihongo.com/
オンタリオ 池端ナーサリースクール http://www.ikebatanursery.com/
オタワ補習校 http://www.ottawahoshuko.ca/
トロント補修授業校 http://torontohoshuko.ca/
日加学園 http://www.nikkagakuen.ca/

ユニバーシティ(大学)とカレッジ(専門大学)

カナダには、ユニバーシティと称される「大学」と、カレッジと称される「専門大学」があります。

それぞれの特徴をご紹介します。

ケベック州モントリオールにあるマギル大学校内の博物館

ユニバーシティ(大学)

カナダには約90校ほどのユニバーシティがあり、そのほとんどが州立大学です。

学校ごとのレベルは均一的で、どこでも質の高い教育を受けることが出来ます。

ユニバーシティはアカデミックな学問を学ぶ場であり、学校によって、学士号、修士号、博士号の3種類の学士を取得することが可能です。

カレッジ(専門大学)

ユニバーシティに比べ、カレッジでは就職に役立つ、実践的なスキルを身に付けることができます。

カナダ全土には、約120校ほどのカレッジが存在しています。

専門分野は学校によってさまざまで、

  • ビジネス全般
  • 教育
  • ホスピタリティ
  • プログラミング
  • アート
  • デザイン

など多岐に渡ります。

カナダへの移民を検討している方や、大学進学を目標としている多くの留学生にとって課題となるのは、「語学力」と「金銭面」です。

そのような場合、”カレッジからユニバーシティ(大学)への編入制度”という選択肢があります。

これはカレッジで1、2年次を学び、その後、大学の2、3年次へ編入するというシステムです。

カレッジ入学において必要とされる英語力は、大学入学よりも低く設定されています。

またカレッジで専門分野の勉強をしながら、英語のクラスを並行して受講することで、語学力アップを図ることが可能です。

さらに授業料に関しても、カレッジは大学に比べると約2/3ほど。最初の2年をカレッジで学ぶことで、トータルの学費を抑えることが可能です。

編入には、大学および希望するコースによって必要単位数が異なりますので、事前に調査するようにしましょう。

カナダの教育制度まとめ

カナダと日本の教育制度には、義務教育期間や必修科目など、さまざまな点で違いがあることをご紹介しました。

なおカナダには、日本のような”受験戦争”は存在しません。

もちろん私立や大学入学のための試験はありますが、それぞれの学校には生徒個人の興味に沿った選択が入学後にできるよう、専門的な選択科目が幅広く用意されています。

また、日本人は名門大学を好む風潮にありますが、カナダでは大学名が就職に直結するということはありません。

それよりも大切なのは「何を学びたいか」という個人の意思であり、将来的には学生時代の経験や学習内容の専門性が重視される傾向にあります。

 

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