カナダも日本同様に慢性的な看護師不足で、移民の看護師を積極的に受け入れています。
現在のパンデミックもあり、各州で看護師をカナダ国外から受け入れようとカナダ政府、看護協会ともに大幅に規制を緩めていますので、カナダで看護師を目指している方は今がチャンスです。
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カナダで看護師免許を取得するプロセス
日本で看護師免許を持っている人は、カナダの看護師免許に書き換え可能です。
ただ最初にお伝えするのは申請する書類集め、英語力の要件など含め、決して簡単ではないことだけは知っておいてください。
あまりにも大変で時間の要するプロセスのため、諦める人が少なくないです。
しかしカナダで働く看護師の待遇面、給料面、自然に囲まれた雄大な土地の魅力にまさるものはありません。
おおまかに、日本で看護師免許を持っている人がカナダで免許書き換えをする場合、以下のような流れになります。
- NNASに必要書類を送る
- 英語の試験をクリアする
- 住みたい州の看護協会に申請し審査を受ける
- 審査後に指示されたコースを受ける
- NCLEX受験
- カナダで看護師免許登録
どのくらいの期間でカナダの看護師免許に書き換え達成できるかは、その方のもともとの英語力レベル(実はここが一番ネック)、日本でどの程度書類の収集・提出まで終わらせたかによります。
早くて3年程度と思っていると良いでしょう。
カナダは事務的な作業がとても遅いことに加え、インドやフィリピン、アフリカ各国からカナダに移民してくる看護師は多数いるため、申請者が殺到しやすい地域であるブリティッシュ・コロンビア州やオンタリオ州では長期戦になる覚悟でいましょう。
それでは次からプロセスを細かく見ていきましょう。
ステップ① NNASに必要書類を送る
NNASとは、National Nursing Assessment Serviseの略で、カナダで看護師免許を登録したい外国人看護師は必ずこの機関に審査をしてもらう必要があります。
NNAS提出書類1) 身分証明証
カナダ国内にいる場合はNotary Publicでパスポートや運転免許証を証明してもらいましょう。
料金の相場は1つ40〜60ドル程度で、30分程度で作成してくれます。
2つ身分証明が必要で、1つは顔写真付きである必要があります。
BC州にお住まいの場合は、BCIDを持っているとそれも身分証明として使えますので、運転免許センターで早めに作成しておくと良いでしょう。
NNAS提出書類2) 卒業した看護師養成機関からの情報
日本で通学した看護大学/看護学校に書類を作成してもらいます。
- NNAS Nursing Education Form
- 英語に翻訳したシラバス
- 英文成績証明証
ちなみにシラバスはほとんどの学校で英語版は準備していないと思いますので、翻訳が必要になると思いますが、自身で地道に翻訳することをおすすめします。
NNASの翻訳サービスもありますが、1ページあたり85USDかかります。
書類は看護学校から直接NNASに郵送してもらう必要があります。
NNAS提出書類3) 職場からの情報
過去5年間に勤務した看護に関わる職場すべての情報を、Nursing Practice/Employment Formに記載してもらい、職場から直接郵送してもらいます。
過去5年以内に複数の場所で看護師として勤務していた場合、それぞれから記入をしてもらう必要があります。
NNAS提出書類4) 日本の看護師免許登録情報
必要書類を厚生労働省のサイトからダウンロードし、英訳担当者に看護師籍免許登録事項英文証明書を発行してもらいます。
NNAS Nursing Registration Formと看護師籍英文証明書を、直接厚労省からNNASに郵送してもらいます。
これらの書類がすべてそろってからNNASの審査が開始となります。
審査終了まで3ヶ月の期間を要すると公式には言っていますが、実際はもっとかかる覚悟でいましょう。
ステップ② 英語の試験をクリアする
カナダで看護師免許書き換えをする場合に認められている英語試験は2種類です。
- CELBAN
- IELTS
CELBANはカナダ独自で行っている、看護職者向けの英語力を査定する試験です。
トピックはすべて医療に関する内容です。
必要なスコアはListning: 9 Reading: 8 Writing: 7 Speaking: 8
一方IELTSは世界的に大学入学条件などに使われている英語力を査定する試験です。
必要なスコアはListning: 7 Reading: 6.5 Writing: 6.5 Speaking: 7
このスコアをクリアし、NNASからAdvisory Reportという審査結果がそろったところで次のステップに進めます。
ステップ③ 住みたい州の看護協会に申請し審査を受ける
BC州の場合、BCCNM (British Columbia College of Nurses and Midwives)、オンタリオ州の場合はCNO (College of Nurses of Ontario)に申請となります。
これらの州は外国人看護師が集中しやすく、審査に時間を要するため、東海岸のノバスコッシア州やニューブランズウィック州などもおすすめです。
州によっては申請後に適正試験を受けるように指示される場合があります。
州により異なり、NCAS(Nursing Competency Assessment Servise)と呼ばれていたり、OSCE(Objective Structured Clinical Exam)と呼ばれています。
適性試験は主に2つの試験で構成されています。
- CBA(Computer Based Assessment)
- SLA(Speach Language Assessment)
CBAはコンピューターを使った知識を問う試験を受けます。
SLAは、シナリオをもとに模型や人を相手に看護技術、医療的ケア、薬剤投与などを実践する実技試験です。
その後に口頭試問が続き、医療職者としてのスピーキング能力、コミュニケーション能力も査定されます。
ステップ④ 審査後に指示されたコースを受ける
提出した書類、知識/実技試験の結果を踏まえ、各看護協会がカナダで看護教育を受けた新人看護師と申請者にどのくらいのギャップがあるのかを査定し、以下のような教育を受けるよう指示されます。
- いくつかのオンラインコース+病院実習
- 1年程度のオンラインコース+病院実習
- 4年間の看護学校に再入学
ほとんどの人が1年程度の教育が必要と判断されますが、最近はパンデミックで看護師不足が深刻化していることもあって、3ヶ月程度で終わるオンラインコースと実習を課せられるケースが増えているようです。
よほど悪い結果でない限り、4年間の再教育になる可能性はありません。
ここでネックなのが、コースを受けるのに順番待ちがあることです。
移民看護師が集中しやすい都市では、待ち期間が1年程度になることもまれではありません。
ちなみにもともと英語圏で看護教育を受けているアメリカ、オーストラリア、イギリスなどの看護師がカナダで免許書き換えを行う場合、これらのコースは受けずに免許登録可能となることが多いようです。
ステップ⑤ NCLEX受験
北米版の看護師国家試験です。
6時間にもおよぶ試験で、ひたすら状況設定問題を読み回答していく試験です。
日本の看護師国会試験より専門性が高く、難易度はかなり高めのため、十分な準備が必要です。
ステップ⑥ カナダで看護師免許登録
NCLEXに合格したら、晴れて州の看護協会を通して看護師免許登録ができます。
登録料を支払い、Jurisprudence Examという法に関連したミニクイズのようなものを受け、本登録となります。
まとめ
カナダで看護師をめざし、英語を使って看護ができたらかっこいいですよね。
免許書き換えのプロセスは本当に困難の連続で、心がくじけそうになることもあると思います。
簡単ではないですが、1つ1つハードルを乗り越え、夢をつかんだあとのカナダでの暮らしを想像しながら日々努力することで、必ず達成できますよ。