南アジア、インドとミャンマーに挟まれる形で位置するバングラデシュは、日本人にとっては馴染みの薄い国かもしれません。
そんなバングラデシュ人の恋愛・結婚事情となると、きっと想像もつきませんよね。
バングラデシュ人の恋愛・結婚事情は、実は昔の日本と似ているところも多く、またイスラム教の色も濃く、興味深い点がたくさんあります。
ここでは、そんなバングラデシュ人を夫にもつ筆者が、現地の恋愛・結婚事情を紹介したいと思います。
1. アプローチやコミュニケーションがねちっこい
バングラデシュ人は、たとえ知り合いや友達の関係であっても、親切心が深くかなりフレンドリーで、他人との距離感が抜群に短い人たちです。
それが片思いをしたり恋愛関係となると、とてもネチっこいです。
というのも毎日電話やメッセージの嵐、返信しなくてもおかまいなし、FacebookなどSNSの写真には2人の写真をあげまくる、などといったようなことです。
筆者も一度、会ったばかりで友達になった、日本語を少し話せるバングラデシュ人の男の子から
「おはようございます」
「こんにちは」
「こんばんわ」
の毎日3回の挨拶に加え、
「ご飯は食べましたか?」
という謎の確認のメッセージを何度も受け、うんざりしたほどです。。(バングラデシュにいるとよくわかるのですが、Typicalなバングラデシュ人はとにかくご飯を食べることが大切と捉え、人にきちんと食事をとったのか確認したり、しつこく勧めたりします。)
そのレベルの濃いコミュニケーションが好きな人なら良いですが、そうでなければ結構きつく感じ、疲れてしまうかもしれません。
2. 恋愛の進め方はかなりコンサバティブ
バングラデシュはイスラム教の国なので、婚前交渉は基本的には禁止されています。
とは言っても現代ではその限りではなく、比較的おおらかにはなっているとは思いますが、それでも婚前にそのことについて触れるのはタブー視されているようなところがあると思います。
日本や欧米などでは、付き合っている彼氏・彼女を両親に紹介したり、結婚前提で同棲をしてみたり、ということは比較的普通なことだと思いますが、バングラデシュではかなり異例なことです。
筆者は、バングラデシュ人の夫と結婚する1ヶ月半ほど前から、夫の実家に住まわせてもらいましたが、部屋はもちろん別々で自分のためだけの部屋が用意されていました。
昼間の時間帯でもどちらかの部屋にこもってお話をするようなことは、ノーマルではないことのように見られていました。
そして一緒に住むくらいなら何故結婚しないの?と、義母や親戚からのプッシュがすごかったので、結果的にかなりスピーディーに結婚する運びとなりました。
3. まだまだお見合い結婚が主流
イスラム教の関係でオープンで自由に恋愛ができない雰囲気のため、バングラデシュ国内ではまだまだお見合いによる結婚が主流となっています。
男性であれば、20代後半くらいになると、結婚して当たり前のような雰囲気になり、女性だとまだ学生でもお見合い結婚をさせられる場合もあります。
側から見ていると、結婚をしなければいけないというもはや強迫観念にも近いようなものに囚われすぎている上に、あまりにも世間体を気にしすぎるが故、みんな結婚に急ぎすぎていて、お見合いを強行する家族が多いと感じます。
結婚する本人同士が納得しているのであれば良いのですが、そうでない場合ももちろんあります。
ファミリープレッシャーによって結婚を半ば強制されて、不幸な結婚生活を送っているカップルも見ているので、宗教や文化的な側面が強いから仕方がないとはいえ、根深い問題だなと感じます。
4. 結婚はイスラム法の下で
バングラデシュで結婚する際は、基本的にイスラム法の下で結婚の誓いをたてます。
イスラムの結婚では、手続きをしてくれる牧師のような人が自分たちの家に来て、家族や親戚の立ち合いのもと、儀式を取り行ってくれます。
そこで「ニカナマ」と呼ばれる婚姻証明書に基づき、新郎新婦がベンガル語で誓いの言葉を唱えていき、指輪を交換して、牧師が祈りの言葉を唱えて、親戚など参加者全員でご飯を食べて終了、という流れです。
ニカナマの内容を見てみると、イスラム教ユニークな事項が記載されています。
例えば、ダンモホルと呼ばれる、新郎から新婦へ支払われるお祝い金のようなものがあり、そのダンモホルの金額と支払済みかどうかを記載する項目がありました。
新郎やその家族が新婦側にお金を支払う代わりに、新婦とその家族は家具代などを負担するような風習もあるとのことです。
また、新郎は新婦に離婚協議になった場合にその権力を与えるかどうか、結婚により新郎の権利を脅かすような事項はないかなど、女性よりも男性に有利と思われるような項目がいくつか見受けられました。
5. 派手さ重視の結婚披露宴
お祭りごとが大好きなバングラデシュ人にとって、結婚披露宴は自分たち家族の富を示す意味も込めた人生一大イベントです。
男性はパンジャビと呼ばれる正装もしくはスーツ、女性はサリーを着て、おしゃれをして参加します。
参加するのは、新郎新婦の親戚や友人だけでなく、参加者の遠い親戚、のような、新郎新婦と全く面識のない人も、おそらくご飯目当てでちゃっかり参加したりするそうです。
そのため披露宴参加者の人数は200名くらいになったりします。
披露宴の内容はいたってシンプル、お花などで綺麗に飾られた高砂では、新郎新婦と共に、もしくは参加者だけで写真撮影をしまくり、あとはお肉などふんだんに使われた豪華な食事を食べるというもの。参加者人数が多すぎる場合は、2回に分けて食事をサーブしたりします。
披露宴開始時間は決まっていますが、参加者はパラパラと集まり始め、新郎新婦ですら遅れて到着する、と言った、なんともゆるい披露宴です。
6. 旦那は基本的に妻よりも母を大事にする
日本の結婚しているカップルに比べて、絶対的に違う点の一つとして、旦那さんは自分のお母さんを、自分の妻よりも大切にするということがあります。
こちらもイスラムの教えが強いらしく、「まずは母親を何よりも大事に」という観念があると聞いたことがあります。
日本では旦那さんが自分の母親に対して冷たく当たりすぎることも多いと思うので、母親を大事にすると言うことは聞こえは良いかもしれません。
しかしながら実際は日本の昔のように嫁姑関係がいびつな家庭も多いため、そんな中、夫が妻である自分ではなく、母親の肩をもつと言う状況は、妻にとってストレスは計り知れないと思われます。
特に、現地在住の日本人妻・バングラデシュ人夫のカップルだと、ほとんどの日本人妻がバングラデシュファミリーの文化を受け入れきれられない部分もあるなか、少しでも不満を言えば、夫はとても不機嫌になる、という話を度々聞きます。
本当に大変そうだなあ、と感じてしまいます。。
べったり恋愛と大家族で協力しあうバングラデシュ
さっぱり系の恋愛や、親戚関係が疎遠めの方が好きな人なら、バングラデシュは大変な環境だと思いますが、べったり系の恋愛や、結婚後も大家族で協力、依存し合いながら過ごすスタイルを理想とする人であれば、バングラデシュは意外と理想郷かもしれません。