大きな節目である結婚と同時に海外移住ともなれば、人生最大の決心になるかもしれません。
多かれ少なかれ迷っている、不安に思っているならば、ぜひこの体験記を読んでみてください。
オーストリア人と国際結婚、そしてオーストリア在住歴10年を超える筆者の失敗談も赤裸々に告白しちゃいます。
その失敗を踏まえ、オーストリアで暮らしやすくするコツや、婚姻届とビザの各手続きがスムーズにいくポイントを伝授!
何も知らずに手探りで始めるよりもずっと楽になるはずですよ。
お試し期間を設けられる日本人(婚姻前)
オーストリアでは他のEU諸国と違い、日本人はビザなしで6ヶ月(180日)間滞在が許されます。
これを利用しない手はありません。
※ワーキングホリデービザも30歳以下でしたらぜひおススメしたいです。
この期間に色々と見極められるはずです。
まず、最重要項目の夫または妻となり得る人との生活の相性を試せます。
筆者と夫は第3国で出会い(日本でもオーストリアでもない国)、そこで数ヶ月生活を共にしましたが、住む場所が変わればそれぞれの事情も変わります。
国際結婚をするということは、ただ生活を共にするということだけではありません。
相手を取り巻く環境、人間関係がダイレクトに影響されます。
パートナーとの相性だけでなく、オーストリアという国風、国民との相性を身をもって感じられます。
こういったことは旅行などではなく、実際に住んでみなければ見えてこないものです。
このお試し期間は決して無駄にはなりません。相手の方もご自身も半年間もごまかせません。
家族との関係や友人達、食住環境など、じっくり観察して感じてください。
筆者はこの6ヶ月間を経て、オーストリア人との国際結婚へと踏み出しました。
婚姻必要書類は抜かりなく揃えてオーストリアへ
書類を揃えるにあたってのポイント
婚姻によりオーストリアへ永住をするのであれば、婚姻届とビザ申請に必要な書類をそれぞれ用意しなければいけません。
在日本オーストリア大使館をはじめ、在オーストリア日本大使館、ご自身とパートナーの住所登録地域の役所、それぞれにきちんと必要書類を確認の上で準備して渡航すべきです。
国際結婚は、はっきり言って書類を揃えるところから試練が始まっています。
とにかくややこしい・・。
ここでパートナーが協力を惜しむようなら、この時点でやめておくべき!と断言できるくらいです。
どこでどの書類を入手するかも大切なポイントです。
もしウィーン界隈に住むのであれば、大使館で入手できる書類もあるので、無理をして日本から持ってくるよりも早く安く済ませられることもあります。
お住まいがウィーンから離れている場合は、日本から用意しておいた方が楽な場合もあります。ですが、これも本籍地と住民票がある場所によります。
大使館領事部への重要な書類は郵送での手続きはできません。当人が窓口で直接手続きをするのが原則です。
場合によってはどうにかしてくれることもたまにあるので、何事もまず問い合わせてみましょう。
前述しました6ヶ月のお試し期間であっても、書類は調べて揃えておくのをおすすめします。
全ての書類を揃えるのにはかなりの日数と労力を要します。
ただし、書類によっては発行後の有効期間が設けられており、それが3ヶ月間、6ヶ月間まで!というのもあります。
準備が早過ぎると、いざ必要な時は無効になってしまうことも。ご注意ください。
結婚手続きの順序時期をきちんとプランしよう
オーストリア入国時はビザ無しで滞在中に結婚の手続きを済まし、半年の滞在期間内にビザの申請をして受理されればそのまま在留、定住許可がもらえます。
通常最初のビザでは1年間の許可が出ます。
婚姻届はオーストリア式であれ、日本式であれ、両国共に届けなければいけませんが、どちらを先に済ませるかにより必要書類が異なります。
筆者の時はオーストリア式で婚姻届を先に済ませ、後日、在オーストリア日本国大使館へ届けました。
婚姻届→在留許可/定住許可申請(ビザ) の順で手続き
婚姻届が受理された後に、在留定住許可申請を行います。
念のために記しますが、婚姻届とビザ申請は全く別の役所です。
ビザなしでオーストリア入国している場合、この6ヶ月以内にここまでの手続きを済まさなければいけません。
もし書類の不備などで期間内にビザ取得できなかった場合、日本へ一度帰らなくてはいけなくなり、さらにその後3ヶ月はオーストリア入国を待たなければいけなくなります。
婚姻後の姓はどうするか
オーストリアでは別姓での婚姻も認められていますので、それもよく考えて決めましょう。
後々の変更はどちらの姓を取るにしろ、手続きが面倒になります。
筆者は別姓、つまり日本の姓のままにしました。
その理由は日本の書類関係を全て変更する手間が面倒ということと、オーストリア姓を名乗るメリットがあまり思いつかなかったからです。
ちなみに在住歴10年以上になりますが、別姓で困ったことはありません。
ですが、身分証明書の姓が違うため、夫と家族だと分からないので、パスポートの氏名欄に括弧書きを入れて夫の姓を記載しています。
括弧書きで婚姻者の姓を記載するのは簡単で、婚姻証明書があればすぐパスポートセンターで記載してくれます。
必要でない方はしなくても良いですよ。
結婚による家族用滞在ビザの申請について
ここからは結婚後からその後も続くビザについてです。
婚姻によるビザ申請は通常 Familienangehöriger (家族用滞在ビザ) の申請になります。
滞在許可/定住許可=ビザ申請もハードルの一つ、これも国外で暮らす人には必須項目です。
必要書類、必須事項が盛り沢山ですので、申請時には必ず現地お住まいの州警察移民課で確認してください。どういうわけか地方や担当者によって違います。
参照:在日オーストリア大使館のホームページよりビザ申請について
お察しかと思いますが、婚姻届によりはじめから永住権はもらえません。
定住年数を重ね、さらに移民課が掲げる条件を満たしていなければいけません。
今後引き続きビザ申請に必要な情報として、ドイツ語習得がありますが、要は、政府公認のドイツ語テストにパスしなければいけまないということです。
必須事項ドイツ語習得とテスト
ここからは多くの方が気になるであろうドイツ語習得に関してです。
Familienangehöriger(家族用滞在ビザ) から Daueraufenthalt(永住権5年ごとの更新が必要) 取得までの規定条件です。
ドイツ語テストにはレベルがあり、定住許可の年数によってレベルが上がっていき、ビザ申請のためにはテストの種類も限定されます。
現在(2019年3月)では、
- 1年在留もしくは定住許可申請:A1(初級1)
- 3年許可:A2(初級2)
- 5年許可:B1(中級1)
という段階が定められています。
この5年というのは基本的に永住権(EU)にあたりますが、5年ごとの更新が必要です。
この申請を出すのに、5年以上の定住が必要になります。
ビザ年数を記すと、通常、以下ののようになります。
1年ビザ
↓
3年ビザ(この時点でまだ4年定住なので)
↓
もう一度3年ビザ
↓
5年/永住ビザ(EU)
ドイツ語テストはÖIFという種類のテストでなければならず、これはオーストリアに関する一般常識も含まれた内容になります。
※以前はösdという種類のテストが公認とされていましたが、現在は違います。
同レベルであっても、テストの種類が違えばビザ申請時に認めてもらえません。
テストは居住地にもよりますが、大体月に一度の割合で受けることができ、結果が分かり証明書を受け取るまでにさらに最短2、3週間ほどかかります。
※ウィーンでは毎週テストを受けられるようです。
筆者の失敗談その1
実は筆者はこのドイツ語テスト基準で2度も痛い目をみました。
というのも数年ごとに基準が変更され、その変更を移民課から知らされなかったからです。
次回申請寸前まで知らず、テストレベルの基準を達していないということで、定住許可年数が短いものしか申請できませんでした。
それも2回も。
1回目はテスト基準が変わり、筆者は基準に達しておらず、さらなるテストに合格していなければなりませんでしたが、その時の申請時には間に合いませんでした。
そして2回目は、せっかく取った合格証明書が、その次の申請年になる間に今度は公認テストの種類が変更され、すでに持っていた種類の合格証明書では役に立たなかったのです。
まさかの悪夢再来。もうこうなると、ビザなんて要らん!と言いたいところですが、そうもいきません。
またテストの受け直しでした。
一回のテスト受験費はレベルによって多少違いますが、大体100〜150ユーロかかります。
テスト合格後にすぐまた再申請すれば良かったのでしょうが、そこまで短い期間で変更されるとは思わず、さらに一度のビザ申請に140ユーロほどかかるので、期限ギリギリまで申請しなかったのが仇になりました。
ビザ申請も通常より回数を多くしているので、その分申請費用がかかっているうえに、テストも何度か受け直しているので、その受験費も余分に払っている訳です。まさに負のループです。
ですが政府指定公認ドイツ語テスト合格証明書がないからと、ビザ申請が受理されずに強制送還になったわけではありません。
受理されたのが申請年数が短いものだったということです。
1回目で懲りてるのに、なぜまた?と思われるでしょうが、これは筆者の大雑把な性格が災いしたとしか言いようがありません。
とにかく全てが自己責任の国、ということをお忘れなく。
みなさまはきちんとその都度確認してください。またすぐに変わるはずです。
筆者の失敗談その2
これもドイツ語に関することです。
ドイツ語習得に時間がかかり過ぎている、ということです。本来なら何よりも先に語学力を上げるべきだったのに、それを怠ったのです。
そもそも全くドイツ語が分からないのに国際結婚をして住む、ということ自体が無謀かもしれません。
ですが母国語以外は誰でも【初めて】からですし、意外とこういった方も日本人に限らず結構いますので、そこまで心配せずとも大丈夫です。
それでも定住し始めてすぐに1、2年かけてしっかりドイツ語を学ぶべきです。
はっきり言いますと、近隣国の人はやはりドイツ語習得のスピードが早いです。
文字も文法も全く違う日本語から習得するのにはかなりの努力が必要です。
筆者は定住1年目で子供ができ、子供のことで手一杯になりました。
こういった順序はやはりきちんと計画を立てるべきことだったと今でも思っています。
語学力が乏しいまま、初出産をまだ不慣れな国でし、子育ても手探りとなると本当に大変で気が狂いそうでした。
筆者の場合は夫がとても子育てに積極的だったので何とか乗り越えられましたが、ドイツ語に関しては未だコンプレックスのかたまりです。
オーストリア人との結婚生活までのポイントまとめ
とにかくドイツ語能力は必要です。思うように話せないのは当然ストレスになります。
住んでいれば自然と話せるようになる、というのは都市伝説または単に願望であって実現はしないと思ってください。
きちんとドイツ語を操れる人は努力した人です。
それともう一つ重要なことがあります。それは何事もこだわり過ぎないこと。
日本で当たり前それは常識だ、と思っていたことが大きく違うことは珍しくないのです。
そこで踏ん張りすぎると無駄にエネルギーを消費するだけです。
子育てを例にしますと、筆者の夫がとても積極的で助かったのは確かですが、積極的な分、それ相応の彼なりのこだわりもありましたし、お国柄ならではの子育て常識事情も大いに異なりました。
当然そこで揉めることも多々あり、どうにか丸め込めないか必死になった時期もありましたが、頑固なオーストリア人はすんなり譲ってくれません。
こうなると永遠に平行線をたどるだけなので、論争自体が無駄な気がして「もう、いいや」「ま、いいか」が頻繁に。そして徐々にお互い様になってきます。
国際結婚の利点。そもそも全く違う文化と言語の国でそれぞれ生まれ育っているのだから、考え方が違うのは当然よ、と早い段階で諦められるのです。
これは、日本人同士の関係より執着せずにすみます、もしくは、そうとらえればそうそう腹は立ちません。
そして夫婦間に限ったことではなく、生活そのものも含めて言えるので、心の片隅に置いておいてください!
だいぶ気が楽になるはずですよ。