ウクライナでは2014年にロシアによるクリミア併合とウクライナ東部による内戦という2つの大きな出来事がありました。
そのためウクライナへの移住や旅行に関心があっても、実際の治安状況が分からないためになかなか行けないという方も多くおられます。
ここでは、ウクライナの治安状況を紹介すると共に、ウクライナで犯罪に巻き込まれないための方法を現地在住経験者からお伝えします。
ウクライナの治安状況。都市別に解説
外務省の海外安全ホームページによると、ウクライナについては一部地域で渡航中止勧告(レベル3)、その他全土で注意勧告(レベル1)の情報が出ております。(2018年12月時点)
内戦自体は既にほぼ停止状態にあり、内紛に巻き込まれる危険性はほぼありませんが、一部の地域ではウクライナ政府と反政府とのにらみ合いの状態が続いています。
またクリミア地方についてはロシア政府が支配している状態にあり、国境も含めて既にウクライナ政府は関与していない状況にあります。
キエフ市
キエフ市はウクライナの首都。
市の人口は公式ではおよそ280万人といわれていますが、実際には400万近くいるとウクライナの地元の新聞は発表しています。
2017年の上半期の犯罪件数は46,004件で、他のウクライナの都市と比較してダントツに多いのが現状です。
理由としては、他の都市と違い人口が過密状態であることと、地方からのウクライナ人が上京しているために一般犯罪が多い状態になっていることが挙げられます。
キエフ市内で最も気をつけたい3つのエリアは
・シェフチェンコフスキー(Шевченковский)地区
キエフ市内で特に危険な地区といわれているのがシェフチェンコフスキー(Шевченковский)地区です。
この地区では2017年に6,299件の犯罪が発生しています。
この地域では特に詐欺事件が多く2017年には他の地域よりも10倍近く多い987件の詐欺事件が発生しています。
・ドネプロフスキー(Днепровский)地区
その次に危険な地域はドネプロフスキー(Днепровский)地区です。
2017年にこの地区では6,123件の犯罪が発生しました。
この地区では強盗事件が多く、他の地区よりも5倍以上多い、397件の強盗が発生しています。
・オボロンスキー(Оболонский)地区
その次に危険と言われているのがオボロンスキー(Оболонский)地区です。
この地区は2017年に4,192件の犯罪が発生しています。
この地区では365件の空き巣被害が起きていますが、それよりも注意したいのは殺人事件が他の地域よりも多い傾向にあるということです。
オボロンスキー地区はキエフの中でも人気のある地区のひとつに数えられていますが、犯罪は残念ながら増加傾向にあります。
・一番安全とされるエリア
キエフ市内で一番安全といわれている地区がポドルフスキー(Подольский)地区です。
この地域はキエフの中でも比較的富裕層の人たちが住んでいるため、治安もよく街も平穏です。
ただし、この地区では高級住宅街が故に高級車の盗難犯罪が起きています。
リヴィウ市
リヴィウはウクライナの北西部にあり人口は約70万人です。
ウクライナの中でも最も人気のある都市で、旧市街など数々の美しい建物が残されています。
リヴィウはウクライナの中でも犯罪発生率の低い都市で、10万人以上の都市の中で最も安全な都市とされています。
そのため、リヴィウに関しては夜に街中を散歩しても犯罪に巻き込まれる可能性はほとんどありません。
オデッサ市
オデッサは夏のリゾート地としてウクライナだけでなくロシアやポーランドからも多くの観光客が訪れます。
リヴィウ同様にオデッサも比較的治安は良く、犯罪に巻き込まれる危険性はあまりありません。
特別気をつける地域はありませんが、夜に関してはオデッサ駅周辺やバスターミナル周辺は物乞いをはじめ、多くの浮浪者が集まるのでなるべく近づかない方が安全です。
またオデッサ周辺は道路事情が悪く舗装されていない道路がかなりあるので、車を運転する際には事故に巻き込まれないように注意が必要です。
ウクライナ東部
ウクライナ東部は、反政府でもあるドネツク人民共和国が実効支配しているため政情は不安定のためかなり危険な状態です。
ドネツク人民共和国の警察に拘束される恐れや、政府と反政府組織の戦闘に巻き込まれる恐れもあるため、近づかない方が安全です。
ウクライナからロシアへ移動するときも、ウクライナ東部を通るのは避けて、ベラルーシを経由して移動するほうが安全です。
ウクライナで気をつけたい4つのこと
1. 公共機関での移動について
ウクライナはスリや置き引きが頻繁に起こるため、交通機関で移動する場合はかなりの注意が必要です。
長距離バスの場合は途中バスターミナルで10分から15分のトイレ休憩が設けられますが、基本的にバスの出入りが自由になっているため、休憩中にスリがバスの車内に侵入し、財布やスマートフォンを盗むという犯罪が頻繁に起きています。
特に、スマートフォンについてはウクライナでは高価な商品のため、少しの時間でも置き忘れると盗まれる恐れが非常に高いです。
また電話を借りるフリをして携帯電話盗む犯罪もウクライナでは起きています。
もし友人に電話をしたいのでかけさせて欲しいと近づいてきた場合はかなりの注意が必要です。
財布と同様、携帯電話も肌身離さず持っているようにしましょう。
近距離のバスや地下鉄はラッシュアワーの時間帯ではかなり混雑します。ポケットなどに財布やスマートフォンを入れていると盗まれる恐れがありますので、なるべくカバンの中に入れ、カバンも手でしっかり持っているようにしましょう。
2. 街中で注意すべきこと
ウクライナでは長年続く景気低迷のために多くの浮浪者を見かけます。
暴力などに巻き込まれることはありませんが、外国人にお金を要求する浮浪者はかなりいます。
お金を渡すかどうかはご自身の判断になりますが、変なトラブルに巻き込まれないように注意する必要があります。
またキエフの観光地ではミッキーマウスなど着ぐるみを着た人を見かけることがよくあります。
親しげに近づいてくるのでつい写真を撮ったり一緒に写真に入ろうとしたくなりますが、彼らは写真を撮らせてお金を取るビジネスをしています。そのため写真を撮らせた後に高額な料金を要求することがあります。
日本ですとついつい何でもタダに感じてしまいますが、ウクライナではスーツケースを運んであげたり、写真を取らせて上げたり、近くまで車で送迎してあげたりすることが親切心ではなく、お金のために行っていることもあります。
あまりにも馴れ馴れしく近づいてくる場合は十分に注意してください。
3. 売春婦に関して
キエフやオデッサなどの大都市では夜の時間帯になると売春婦を見かけることがあります。ウクライナでは大学生がお金稼ぎのために売春行為をすることもあります。
ウクライナ人女性は容姿も美しいため興味をそそられそうになりますが、ウクライナでは売春は違法ですしバックにマフィアなどが組織がある場合もあります。
そのため美人局のような犯罪に巻き込まれる可能性もありますので、避けたほうが賢明です。
4. サッカー観戦について
ウクライナで一番人気のあるスポーツはサッカーです。
キエフなど各都市にはサッカーチームが必ずあります。ウクライナにはディナモキエフなど有名なクラブチームもありますが、人気チームの試合となると必ず熱狂的なサポーターやフーリガンのようなファンもいます。
また、ワールドカップの予選などの大きな試合となると、チケット売り場周辺にはダフ屋が試合チケットを買わないか声を掛けられることがよくあります。
転売行為は基本的には違法ですし、ダフ屋が偽物のチケットを売る場合もありますので、十分に注意が必要です。
ウクライナでの緊急の電話番号
ウクライナでトラブルに巻き込まれた場合の緊急連絡先を記載しておきます。
・連絡先
火事 101
警察 102
救急 103
在ウクライナ日本大使館 +380-44-490-5500
また、たびレジへの登録も忘れずにしておきましょう。
URL:https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html
ウクライナの治安まとめ
ウクライナには魅力的な都市がたくさんありますが、それと同時に犯罪も起きています。
近年ではウクライナの犯罪は減少傾向にはありますが、日本よりも犯罪発生率は高いので注意は必要です。
特に駅やバスターミナル周辺やサッカースタジアムなどでは犯罪に巻き込まれる確率が高くなるので、十分な注意が必要です。
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