イギリスで22年間、ガーデナー/ガーデンデザイナー(庭師)のお仕事をした体験談

ここではせかいじゅうに寄せられた各国の就労体験談をご紹介します。

今回は、イギリスにて、22年間・庭師として働いた方の経験談を紹介します。(ビザは最初は学生ビザ(週20時間まで)のち結婚後Indefinite leave to remain(居住権))

目次

どんなお仕事をされていましたか?

英国の歴史ある邸宅のお庭で働いています。

庭園内に、レストランや結婚式会場を増築する場合は付属する庭のデザインをゼロから考えます。

普段は既に庭園になっている部分(7ヘクタール)内の植物の世話をしたり、何年もたって景観が乱れたところは新しいデザインを決め、改修したりしています。

半年ごとに季節花壇のデザイン、ハンギングバスケットやコンテナーのデザインを考え、発注、植え付け、世話の仕方を若手に教えたりもします。

収入はいくらほどですか?

就労時間を減らしているので400万円程度。フルで働いたら700万円くらい。

その仕事をしてみての良い点、やりがいをあげるとしたら?

1. 植物相手で、外作業も多く、ストレスが少ない(日本ほど暑くないので外でも大丈夫)

自分が選んだ花々がイギリスの邸宅を彩るところが見られ、自分が死んでも数年は庭として残ると思うと嬉しいです。

その植物たちを自分の手で育てたり、日々、より美しく見えるように手入れしていくことは、疲れもしますが、それだけでやりがいがあります。

2. 上司、同僚に恵まれています

スキルがあれば英語が完璧に話せなくても周囲が理解しようとしてくれます。

日本の植物と欧州の植物両方がわかるので、植物の知識量が元から多く、個性的なデザインができます。

周囲はイギリス人とひとりスペイン人ですが、自分にも居場所があるなあと感じます。

また、私には持病があるのですが、イギリスは体調を崩した時の労働者保護が篤いです。

労災が下りれば6か月お給料全額をもらえますし、労災でなくても、イギリス政府から疾病手当としてその日の食費くらいのお金が出ます。

雇用主側に理解がある上に、法律的にもその持病を理由に労働者を解雇できないので、辞めるという考えより、どうしたら少しでも働けるか、貢献できるかを一緒に考えてくれます。

3. 取引先と建設的な話ができます

自分のデザインがいつも通るわけでもなく、雇用主側も予算が潤沢にあるわけではないですが、育苗業者といい関係を築けていて、交渉したり、在庫や育苗施設を見せてもらったりもしながら、予算のやりくりをすることもチャレンジになって面白いです。

大変なこと、働く前に知っておくべき注意点などはありましたか?

ガーデナー、庭師という性質上、イギリスの園芸学部に留学しなかったら、今のレベルの仕事はできていないと思います。

水やりと除草作業要員で終わっていたでしょう。

同じバラでもイギリスと日本とで育ち方も出やすい病気も違うので、専門知識があることがキーになります。

日本でのバラや紫陽花の剪定の仕方などを趣味として知っていたので、イギリスの方法を留学して習ってから、なぜなのか、天候の違いや病虫害のことなど深く理解できました。

好きなことはのめりこんでやっておき、それを活かした仕事に就くことだと思います。

これからイギリスで庭師として働きたい方へのメッセージ

イギリスの園芸資格をとったほうがいいです。

資格がないと、芝刈りだけとか一日中草刈りとか、そういう作業ばかりになってしまいます。

学生ビザでのアルバイトが禁止になったと聞いています。

最低1年留学して資格(National Certificate in Horticulture, City & Guild Horticulture、NVQLevel2 など)を取り、ワーキングホリデービザを取るのがおススメです。

労働許可証取得はほとんど不可能です。

種苗業者、ナーセリーに日本の園芸知識を求めるところはありますが、労働許可証申請の手間や費用を負担できるほど大手は少ないです。

資本があれば、自力でデザイン事務所を開いてビジネスビザを申請したほうがいいです。(イギリスでの起業は日本より簡単です)。

残念ながら日本風の庭園デザインの需要は今、激減しています。私はイギリス人と結婚したので好きな仕事ができているというのが実情です。

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