フランスで通信技術者として就労した体験談

ここではせかいじゅうに寄せられた各国の就労体験談をご紹介します。

今回は、フランスにて、就労ビザで3年間・通信技術者として働いた方の経験談を紹介します。

目次

どんなお仕事をされていましたか?

所属する会社の在仏事務所で勤務し、日本人の同僚だけでなく、関連会社のフランス人と共に仕事をしていました。

業務内容は主に自社通信システムの設備整備とメンテナンスおよび諸外国との通信関連業務全般ですが、エンジニアとしての本来業務だけでは事務所が立ち行かないため、オフィスの維持管理から電気・電話・IT設備に関する雑務、出張者の世話や上役の接待に至るまで、ありとあらゆる仕事を掛け持ちで行なっていました。

年収はいくらほどでしたか?

900万円

フランスで仕事をしてみての良い点、やりがいを3つあげるとしたら?

仕事面において最も良い点と言えるのはやはり経験量が桁違いに多いという事かと思います。

日本国内でいくら仕事をしたといってもしょせんは同じ環境・同じ会社内での一様な環境で動いているだけであって、国が変わればそれまでの常識が全く通用しなくなることは日常茶飯事です。

具体的に言うと、業務で使える機材のメーカーからして違ってきます。

日本製の機械を使えばいいじゃないかと思われるかもしれませんがそれは大きな間違いで、コストに見合わなかったりそもそも仕様が合わず導入が不可能だったりして、大半の機材は現地で調達せざるを得ないのです。

機器導入にあたっては当然現地のメーカー担当者と打ち合わせる事になりますので、それなりの人脈も作らなければなりません。

いちいち手間がかかって大変ではあるのですが、しかし国内に留まっていたのでは全く経験する事ができなかったような人間関係を構築できる点は技術者にとっても大きな財産になると思います。

また別の面で経験値を得ることのできるケースも多々あります。

海外に滞在すると国内とは全く違った人種と接する機会も多く、これまで接するチャンスがなかったイベントなどにも関りを持つことができるのです。

筆者の場合でも、国内では全く縁のなかったTV番組や美術展、企業の展示といったイベントとのコラボレーション事案が年に数回あり、これまで全く接触がなかった分野の仕事に関わることができたことは大変良かったと思っています。

大変なこと、働く前に知っておくべき注意点などはありましたか?

フランス人と仕事をすることは想像以上に大変でした。

労働に関する考え方が根本的に異なるのである程度やむをえない面はあるのですが、それ以前の問題として個々のフランス人に対して一個の人間同士として接しなければならないのです。

あたりまえのことではあるのですが、ろくにフランス語もできない状態でこれを実現するのはやはり相当厳しいタスクだと言わざるを得ません。

仕事ができれば良いと言うものではなく、ある程度は雑談もできなければ人間同士としての良好な関係を築くことができないのです。

言語能力の拙さを補うのに良い方法として共通の話題を持っていることが大きな強みになるので、サッカーやテニスの知識を持っていると役に立つと思います。

その業種で日本人の需要はありますか?その理由。またどんな経験、資格があったほうがよいですか?

20年以上前の当時とは状況が全く変わってしまい、率直な所現在では同様の技術業務に関する需要は極めて少ないと思います。

これは筆者のような通信技術者に限った話ではなく、製造業・非製造業を問わず日本のメーカー全般に当てはまるような気がします。

とはいえ同様のケースが全くないとも言えません。

そこでもし技術職での就職を志すのであれば、やはりフランス語の習得は必須だろうと思います。

「英語ができればなんとかなる」といった無責任な発言をする向きがありますが、ことフランスに限って言えばこれは全くの見当違いです。

特に独立業者の場合、ある程度のレベルのコミュニケーションが取れないと滞在許可の時点でまず先に進めなくなるだろうと思います。

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